Jan 24, 2017 interview

第2回:『沈黙 サイレンス』の予告編を見ただけで涙が出るという声がいっぱいあって。

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池ノ辺

これは以前、アナウンスされていたから言っていいと思うのですが、もともと、『沈黙』は日本での配給権はGAGAさんだったじゃないですか。

加茂

ええ、経緯はわからないのですが運とタイミングで、自分たちがこんな素晴らしい作品に携わることが出来て本当によかったなと思います。

栗原

ただ、ちょうど一年前のベルリン国際映画祭で、『Silence』の日本配給が決まっていない、まだセールスに出ているとわかって、「え?」と驚いたんです。

加茂

僕と栗原は以前、パラマウントにいたでしょう。

ちょうど2003年、04年あたりだったと記憶しているのですが、その頃からずっと、パラマウントのラインナップには『Silence』はずっと書いてあったんですよ。

だから、僕もびっくりしたんだ。「おい、クリ、あのリストにあった『Silence』だよ、10年巡って、僕のところに来たのか?」と。

栗原

ベルリンに来ていたバイヤー皆さんが呼ばれ、10分間のプロモーション映像を見せられたんです。

その中に、塚本さんと笈田ヨシさんが十字架に括りつけられ、海辺で水攻めにあう場面の映像もあったんですけど、それを見て、もう僕は「これはうちがやらなきゃ」と思った。

加茂

今でもよく覚えているんです。

ベルリンは行く予定でしたが予定が重なって行けなくなっちゃたんですよ。

ちょうど土日で家にいたんだけど、携帯に国際電話がかかってきて、「どうしましょうか?」って海外企画と栗原が言うんです。

「どうしましょうかって、よかったから電話をかけてきているんだろ?」っていうと、「明日、答えを出さなきゃいけないんです」と。

池ノ辺

それで加茂さんは栗原さんになんて言ったんですか?

栗原

「やりたいんだろ?だったらやれよ」と。

加茂

うん、言ったね。「やれよ」って。

池ノ辺

加茂さん、カッコいい!

栗原

でも高かったんですよ(苦笑)。

加茂

そうそう、「高い」って言うから、じゃあこの額までならいいよと言ったんですけど、それでも栗原たちが「本当にいいんですか・・・」とぐちゃぐちゃ言うから、「うるせぇ、出すから、オファーしろ!」と。

栗原

電話の向こうで加茂さんが、「買っちまえ、買っちまいな!」って、それで背中を押されて、正式にオファーを出したんです。

その時、一緒に行っていた海外企画部のあるスタッフは、映画祭の空き時間に教会に行って、そこで十字架を購入し、「『Silence』の権利が獲れますように」と心底祈ったらしいのですが、その時から今もずっと、そのクロスを首にかけていますね。

僕らとっては、お守りみたいになっています。それで、ベルリンから帰国する日に、うちに決まったと電話がかかってきたんです。

加茂

それでも、実際に出来上がったものを観れたのは最近だものね。長かったな。

栗原

本当の完成版を見たのは12月でしたからね。本当にギリギリです。