2001年に「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス)で連載開始された超人気漫画「鋼の錬金術師」。錬金術が科学のように発達した世界を舞台に、人体錬成という禁忌を冒したエドとアルの兄弟が、失った肉体を取り戻すため賢者の石を探す旅に出るという物語だ。コミックスの全世界累計発行部数は8000万部を突破(2021年7月時点)。アニメ化もされ2017年には1作目の実写映画が公開された。
本作『鋼の錬金術師 完結編』は2部構成となり、前編の「復讐者スカー」は、傷の男(スカー)を中心とした物語。後編「最後の錬成」は、ホムンクルスたちの生みの親である“お父様”との戦い、その後のエドとアル、仲間たちの物語が展開し、原作最終話までを描くものとなっている。
今回、後編「最後の錬成」から登場する人気キャラクター、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将を演じた栗山千明さんにインタビューを敢行。彼女がオリヴィエを演じるとのキャスティングが発表されるやいなや、SNSでは喜びの声が多数あがった。原作者・荒川弘も「決まったときは一気にテンションが上がりお祭り騒ぎでした」とコメントし、主演の山田涼介をはじめ、共演の本郷奏多、渡邊圭祐からもオリヴィエの再現度を絶賛され、役柄へのハマり具合が注目を集めている。
この日、本編試写を観終わったばかりで興奮気味の栗山“少将閣下”に、溢れんばかりのハガレン愛と、それを受けての役作り、葛藤などをうかがいました。
ハガレンを見続けた20年
―― アニメも漫画もお好きだとうかがいました。“ハガレン”を好きになったきっかけはいつごろですか?
高校時代のクラスメイトに、同じようにアニメや漫画が好きなお友達がいて、薦めてもらって漫画を読んだのがきっかけです。
―― 最初に出会ったのは漫画だったんですね。
はい。まだ当時はアニメ化もしていませんでした。アニメ化が決まったときは、テンションがあがりました。それも「もう終わっちゃったなぁ」と思っていたら、今度はアニメ新シリーズ として「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」が始まって「おお!」と思ったのを覚えています。そして今度は実写映画の1作目が公開されてと、その時々の“ハガレン”を20年間見てきました。
―― 20年見続けてきた“ハガレン”の好きなところを教えてください。
いろんな要素が入っているところですね。兄弟や家族愛だったり、仲間との心が震えるようなストーリーも散りばめられていながら、人間の真理というか本質的な深いところもちゃんと描かれている。突き詰めれば突き詰めるほど掘り下げられるんだけど、お話自体はすごい見やすくなっていて、お子様から大人までハマりやすい要素があると思います。
なんせキャラクターそれぞれが格好いいし、素敵なんです。敵対するホムンクルスも自分の中の目標や目的がある。人間の敵ではあるけど、単純に悪い奴というわけではないキャラクター設定に深みがあったりするんですよね。
―― 今回演じたオリヴィエ以外で好きなキャラクターは誰ですか?
私、ちょっと人間以外のキャラを好きになりがちなんですよ。パンダのシャオメイだとか犬のハヤテ号を好きになっちゃうタイプ。人間のキャラクターっていうと、難しい。みんないいんですよ、みんないいから選びにくいですね。今回の「最後の錬成」でも、キャラクターみんないいんですよ。本当それぞれに熱いシーンがあるんです。私、さっき本編観たんです!メイク始まる前に、目が腫れて、どうしようっていうぐらいに、泣いちゃって。
―― 感動されたシーンはどこですか?
もう、いろんな部分です。怒りにのまれているロイをリザが止めるところとか、その後、目になって支えるからって言うところだったり、エドとアルの再会だったり、スカーも兄者を感じながら戦ったり、それぞれの関係性ってあるじゃないですか。その度に「知ってるのに!」って思いながら、泣くみたいな(笑)。