Mar 02, 2023 interview

畑芽育インタビュー 私だったら好きを隠せない、片想いの醍醐味を再確認する『なのに、千輝くんが甘すぎる。』

A A
SHARE

片想い中のドキドキって、他では味わえない

――「片想い」がテーマの本作ですが、畑さんは片想いしているとき、どんなことに1番ワクワクしますか?

まだ好きになった相手のことを知りきれてない中で「どんな人なのかな」と探っていく過程ですかね。自分だけしか知らない情報が欲しくて、作中で真綾がやっていた「片想いごっこリスト」にあるような「好きな人が笑った回数を数える」ということをしたり、その人の周りをかぎ回ってみたりして(笑)。

そうやってうまれるドキドキやワクワクする感情って、他ではなかなか味わえないようなことなので「相手のことをもっと知りたい!」という気持ちが、片想いの醍醐味なんじゃないかな。

――真綾にも「楽しくてドキドキする」気持ちから、「苦しくて切ない」に変わっていく瞬間があったかと思いますが、演じていてそれはどの辺からだと感じましたか?

この作品における真綾の切ないところは「片想い“ごっこ”」から始まっていることなんですよね。千輝くんに対して「本当に好きにはならない」っていう宣言を自分からしてしまったから、どんどん膨らんでいく「好き」という気持ちを封じ込めないといけなくて。だけど千輝くんは自分にだけ優しくしてくれるから、優しくされればされるほど辛くなるのが、撮影中に感じたことです。

それに、真綾は片想いしていた相手にこっぴどくフラれて傷ついた過去があるから、また同じことをくり返したくないという気持ちもあって、次の恋には臆病になっているんです。そういう真綾の気持ちに、私も含めて共感できる方はきっとたくさんいるだろうなと思います。

セリフが自分の気持ちとリンクした

――真綾は自分から「これは“ごっこ”で、千輝くんのことは本気で好きにならない」と言っていた手前、引くに引けなくなってしまったところはありますよね。作中ではかわいらしいシーンもたくさんありましたが、特に印象に残っているセリフやシーンを教えてください。

真綾のセリフはどれもかわいくて大好きです。特に印象に残っているのは、千輝くんとデートするシーンで、海を見ながら「なんだか夢みたい」って言うセリフですね。その言葉が、今の私の状況や気持ちとすごくリンクしたんですよ。

自分の名前が台本の最初のページに載っていたり、自分が演じる役のセリフがたくさん書いてあったりして、この作品のヒロインを任せてもらえたことが夢みたいだなっていう自分の心境と、真綾の「千輝くんとデートできている状況が、本当に夢みたいだな」っていうセリフがリンクしていたからこそ、あのセリフをナチュラルに表現できたなと思っています。

――20歳にして芸歴19年という経歴をもつ畑さんでも「この役をもらえたことは夢みたい」と思われるのですね。

どの作品に参加させていただく時も常に思っているのは、「この状況や環境は当たり前じゃない」ということです。台本に自分の名前が書いてあることも毎回感動します。

幼い頃から「芸能界で生き残って、テレビや映画に出られる人は本当に一握りなんだから、自分がその環境にいることに甘えないで、ずっと謙虚にいなきゃいけない」とお母さんやマネージャーさんに言われていました。

――経歴が長いということに甘んずることなく、ということですね。

よく「まだ若いのに芸歴が長いね」と言ってくださることが多いんですけど、本当に歴が長いだけで、経験値や出演した作品数などは同年代の方たちとそんな変わらないと思います。今までやってきたことは間違いなくしっかりと自分の身にはなっているけれど、そこに甘えることなく、共演者の方々やスタッフの皆さんへの感謝と、謙虚な気持ちはこれからも忘れずにいようと思っています。