――この映画にはちょっと極道的なシーンも登場しますが、あの編集はスピード感があって印象的です。
実はあのシーンは全部リズムで、音楽ありきで撮っているんです。私が明日香さん (樋井明日香) と2人で焼きそばを作るシーンも全部リズムで、「ハイ、ハイ、ハイ」という手拍子のテンポでやっているんです。お芝居をしたというよりは、全部リズムでやっている感じです。
喫茶店でサンドイッチをパクッと食べるシーンもそうです。あれも全部音ありきで、「この音でやって下さい」というのがありました。そこはお芝居ではなく、本当にダンスといっては言い過ぎですが、リズムで全部やりました。やっぱりUKロックの音楽の中で生活されていた木村監督ならではのアイディアだと思っています。あれは日本生まれ、日本育ちの日本人にはなかなか出ないと思いました。
――日本映画で、ここまでパワフルな女性の映画はなかったような気がします。
確かにそうですね。まずスピード感が違うと思いました。走るところは走って、見せるところは見せるという強弱の付け方とかも日本映画っぽくない感じがしています。

――【富士子】は自分から人へ話しかけてお願いも出来るし、しっかり自分の足で立ちながら、困っていることもハッキリ言える。コミュニケーション能力が高いと思いましたが、片山さん自身は、人付き合いで大事にしていることは何かありますか。
え~、なんやろ~。自分がそのままでいることですかね。ちょっとよく見せようとか、ちょっと大人らしく見せようとか、ちょっと賢く思われたいという欲は邪魔なような気がしていて、そう思っている時って、人とあんまり繋がらないですよね。自分がずっと関西弁なのも、自分が楽な喋り方の方が絶対に相手も楽になると思うし、自分が楽にすれば隣の人も楽になると思うんです。
私の父親も母親もそうなんですが、娘がチョコレートを作って「お父ちゃん、これ食べる?」と聞いても、その時要らなかったら「いらん」と言える人なんです。“娘の手作りチョコを父親なのに食べへんの?衝撃”って感じで…。すごくハッキリしている夫婦の間で生まれ育ったんです。3人姉妹なのですが、3人ともお世辞が言えないです (笑)。
――俳優業は沢山の人と関わりながら作品を作っていくわけですが、やってみてどうですか。
やっぱり仕事としてやっているので手放しで「楽しい!」と感じることはあまりないです。だけど『FUJIKO』の時にすごく感じたのは、人が居るから自分の感情が動くと思ったんです。イッセー尾形さんもそうですし、皆さんに対して思ったことです。元旦那さんとのシーンの時もずっとシュリ君 (諏訪珠理) のタバコを持つ手が震えていて、その姿を見て“この人、こんなに手が震えているから私の方がしっかりしないと”という感覚になりました。こんなふうに台本には書かれていないことを相手の俳優さんからもらえることが『FUJIKO』ではすごく多かったんです。子どもが保育園から抜け出してしまい、交番で見てもらっているシーンでは、「何をやっているのよ」と私が怒ってうなぎパイを渡されて自分がとてつもなく申し訳ない気持ちになり、子どもに寂しい思いをさせてしまったことに対しても情けなくなってしまう気持ちって台本には書いてあったんです。でも自分には子どもがいないので想像できなかったんですが、友那ちゃんから感情を貰えたので、お芝居の楽しみとはこういうことなのではないかと思っています。
