Oct 13, 2016

コラム

映画『君の名は。』三葉役でも話題の上白石萌音ちゃんのラジオ番組に声をかけられた

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 知り合いのラジオ・ディレクターから突然、声をかけられた。
「上白石萌音ちゃんの特番を手伝ってくれません?」
「え?」
 現在大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」で、宮水三葉の声を担当している女優さんだ。それは知っている。知ってはいるが、たしかずいぶん若い方のはずだが…。

 どうもぼくには「突然声をかけられる運」とでもいうものがあるようだ。しかも、嬉しいことになぜか、若く可愛いアイドルとか女優さんの番組。
 おそらく、最初に担当した松田聖子さんのラジオ番組がとてもうまくいったからだろう。なにしろ、ぼくも若かった。そして時はちょうど80年代女性アイドルの黄金期だったおかげもある。
 当時担当したレギュラー番組は、松本伊代、冨田靖子、伊藤蘭、柏原芳恵、原田知世、薬師丸ひろ子、川島なお美、松本典子、井森美幸(アイドルだったのです!)、河合その子、斉藤由貴、CoCo…。(※全員敬称略です。スミマセン!)
 その頃、年末には「アイドルカレンダー」が人気で、コンビニで売られていた。ある年コンビニに行くと壁に数点のアイドルカレンダーが掲示されていた。ぼーっと眺めていたら(あ、全員レギュラー番組やったことある!)と気がつき、ギョッとしたことがある。
 断っておくが、これは何もぼくが特別なわけではない。当時の若手放送作家はみんな似たような状況でラジオ番組を書いていた。そういう時代だったのだ。

 アイドルブームが一段落し、当然こっちの年齢も上がってくると、しだいにそういう仕事が減ってくる。それでも時々、ぼくのことを思い出してくれる人もいて、
「青銅さん、瀬戸朝香ちゃんの番組やってください」
 と声をかけられた時は、
「え? ぼくでいいの?」
 と戸惑いながらレギュラーを引き受けた。当然、昔と違って女優さんとの年齢差は広がっているのだが、意外にそんなことは関係なく、楽しく仕事ができた。(さすがに若い女優さんはこれでおしまいだろうな)と思っていたら、さらに数年後、
「深田恭子ちゃんの番組を…」
 と声をかけてもらったのには、さらに驚いた。
 どうやら、若くて魅力的な女優さんやアイドルが登場してくると、①ラジオパーソナリティーとして喋ってもらいたい→②でも、経験がなくて不安だろう→③この手の番組を多くやってきたスタッフにサポートさせよう→④そういえば、藤井青銅がいるな→⑤突然声をかける……という流れになるようだ。
 ありがたいことだ。もちろん毎回「ぼくででいいの?」と確認はするけどね。

 今回の上白石萌音ちゃんの場合はレギュラーではなく一回だけの特番だ。それでも、もちろん「君の名は。」は見ておかなくてはいけない。実は前から気にはなっていたのだが、(ぼくみたいなオジサンが見にいくのは恥ずかしいな…)と、躊躇していた。が、これで大義名分ができたのだ。ぼくは映画館にかけつけた。ところが、映画館にはこういう表示が出ていたのだ。
《本日の「君の名は。」上映は、最終回まですべて満席です》

 凄いな。さすが大ヒット映画!…と感心する。感心はするが、急いで見ておかなくてはいけないのだ。(他の映画館で見よう)と、スマホを取り出し、チェックする。他も結構いっぱいだ。(あ、ここは数席残っている。予約しよう)として、ハッと気がついた。
「あ、今日はレディースデイだ!」
 なにしろ若い女の子やカップルに人気の映画で、女性の料金が安くなるレディースデイなのだ。そりゃ、どの映画館もいっぱいになるわけだ。
 そんな中、オジサンが一人で入場したらどうなるか? 違和感があるだけでなく、下手をしたら痴漢だと思われかねない。首から、《ワタシは仕事で見るため来てるんです》という札でも下げていれば、誤解を避けることができるのか? なんだか、エッチな本を買う時にわざわざ「領収書ください」と言うようなもんだ。余計にアヤシイ。
「今日は絶対に行っちゃ駄目だ! 明日にしよう」
 と決断した。

 のち、スタジオで会った上白石萌音ちゃんにこの話をした。

 


 

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藤井青銅/著 柳家花緑/脚色・実演

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藤井青銅

藤井青銅(ふじいせいどう)
23歳の時「第一回・星新一ショートショートコンテスト」入賞。これを機に作家・脚本家・放送作家となる。

書いたラジオドラマは数百本。腹話術師・いっこく堂の脚本・演出・プロデュースを行い、衝撃的デビューを飾る。最近は、落語家・柳家花緑に47都道府県のご当地新作落語を提供中。 著書「ラジオな日々」「ラジオにもほどがある」「誰もいそがない町」「笑う20世紀」「あなたに似た街」「【悲報】本能寺で何かあったらしい……光秀ブログ炎上中! 歴史Web2.0」…など多数。

藤井青銅著「ラジオにもほどがある」(小学館刊)
→電子書籍版

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