Feb 04, 2020 column

接戦の作品賞、再びの司会者不在…第92回アカデミー賞の傾向&予想、注目ポイント

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司会者不在にスピーチ、授賞式での注目

昨年は『万引き家族』『未来のミライ』(18年)がノミネートされ、日本でも大きく報道されたが、今年、日本絡みのノミネートは、カズ・ヒロ氏のメイクアップ&ヘアスタイリング賞のみ。FOXニュースでのセクハラ問題を描いた『スキャンダル』で、シャーリーズ・セロンが、彼の特殊メイクによってモデルとなった当人そっくりに変身した。辻一弘の名前で、2年前、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(17年)でオスカーを手にし、今回も最有力ではあるが、彼自身、日本人だからといって日本で大きく取り上げられるのは好まないという姿勢なので、我々も“一人のアーティスト”として受賞の行方を見守りたい。

そして今年の授賞式での注目は、昨年に続いての“司会者不在”という点。昨年は各プレゼンターが司会者の代役のように授賞式を進め、余計な時間を減らしてサクサクと進んだせいか、下降が続いていた番組の視聴率も回復した。しかし長年、授賞式を見てきた人には物足りない印象もあったうえに、とくに昨年は、オープニングのクイーンはともかく、発表の合間の歌曲賞ノミネートのパフォーマンスがかなり地味だったので、今年はそのあたりもふまえ、どんな演出があるのか期待したい。主演男優賞へのノミネートは逃したものの、タロン・エジャトンは『ロケットマン』の曲を歌うのか? 日本でも大ヒット中の『アナと雪の女王2』は派手なステージで盛り上がるのか? そして『ハリエット』で主演女優賞にもノミネートされたシンシア・エリヴォは、奇跡の歌声を聴かせてくれるはずである。

最後に、スピーチで楽しみな人を挙げるとしたら、ブラッド・ピット。助演男優賞が確実視される彼は、これまでのゴールデングローブやSAGの授賞式で、めちゃくちゃ楽しく、気の利いた、そして心を揺さぶるスピーチを披露してきた。これまでプロデューサーとして作品賞(13年の『それでも夜は明ける』)受賞の際にスピーチしたことがあるブラピだが、あの時は謙虚で控えめだった。今回は自身の演技で受賞するわけで、どんな言葉を用意しているのか。間違いなく世界中の映画ファンの心を掴むはずで、オスカーナイトの主役になる気もする。

文/斉藤博昭

作品紹介
『パラサイト 半地下の家族』

公開中
配給:ビターズ・エンド
© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

『1917 命をかけた伝令』

2020年2月14日(金)公開
配給:東宝東和
©2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

Netflix映画『マリッジ・ストーリー』

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