そして日本のアニメ。こちらも注目作の公開が続く。
11月13日公開の『魔女見習いをさがして』は99年から4年間にわたって放送されたTVアニメ『おジャ魔女どれみ』の20周年記念として制作された長編劇場作品。かつて『どれみ』を見ていた3人の女性を主人公とした物語となっているそうだが、『どれみ』シリーズが大好きだった僕としては発表時から楽しみにし続けた1本でようやくの公開となる。『どれみ』を見ていた人たちからすれば公開されている予告編を見るだけでも涙が滲んでくるはずだ。4年間徹底して視聴者の子供たちに、彼女たちの視線位置から本気で向き合い寄り添い続けた『どれみ』のスタッフが、20年をへて大人になった彼女たちや、いま子供である彼女たちに何を伝えてくるのか。とても楽しみな作品だ。
公式サイト
https://www.lookingfor-magical-doremi.com/
CG『ドラえもん』映画の第2弾『STAND BY ME ドラえもん2』も控えている。1作目はふだんの『ドラえもん』映画と異なり大人にも大ヒットをしたことが記憶に新しいが、今度は『ドラえもん』を読んだことがある人なら誰もが忘れられない名エピソード『おばあちゃんのおもいで』をベースとした映画化となっている。いやあ、それをやられたら泣くのはもう確定だろう。
公開に先行し、すでに海外の映画祭などで上映を行い評判を呼んでいる『ジョゼと虎と魚たち』も年末に控える。田辺聖子の恋愛小説を原作とし2003年には犬童一心監督による実写映画も制作されたが、アニメという表現が用いられることでどのような作品となっているのかが楽しみだ。
こうまとめてみると、劇場用新作から、懐かしさを感じる作品、さらにはおなじみのシリーズの最新作に、海外アニメーションも人形アニメから非メジャー・アメリカ圏の作品までと、とにもかくにもバラエティに富んだラインナップだ。おりしも11月上旬は東京国際映画祭も開催される時期で、そちらでもアニメーション映画の上映が多数プログラムされているので、まるでいたるところの映画館がちょっとしたアニメーション映画祭となるような1ヶ月となる。
普段アニメには距離がある人の中には『鬼滅の刃』によってそれまでの大作アニメ映画“ではない”、日本の現在のアニメが「このレベルにまでなっていたのか!」と気づかされた方も多いかと思う。こうも様々な作品の公開が続くのだ。文化の秋に新たな作品、新たな驚き、新たな感動に出会ってみる良い機会ではないだろうか。
文 / 岡野勇(オタク放送作家)