Jul 20, 2019 column

『高畑勲展』 その後の全てを変えた、日本のアニメーションの軌跡

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昨年にNHKのいくつかの特番で展開された「日本のアニメーション誕生から100年」。さらに、朝ドラ『なつぞら』がアニメーション草創期であった1950年代後半からの時代を題材としているなど、日本のアニメーション史が振り返られる企画が続いている。

『なつぞら』で広瀬すずが演じる主人公・なつは奥山玲子さんという当時のアニメーション界で活躍したアニメーターがモデルだ。ただし経歴や生活などは大きく異なるので、あくまでも“アニメーターとしてのヒロイン像”のモチーフになる。舞台の東洋動画は東映動画。登場するアニメーション制作者にもモデルとなった人々がおり、中川大志が演じる若き演出家・坂場一久のモデルとなっているのが18年に他界したアニメーション監督・高畑勲だ。その他にも大塚康生や森康二、宮崎駿をモデルとした人物も登場している。

同作は朝ドラらしい女性ドラマとしての面白さはもちろんだが、アニメーション制作作業についての説明がわかりやすいのも見所になっている。動画とは何か、アニメーションで“動かす”というのはどういうことなのか。見ていて今更ながら「へえ」となることがある。作中では7月中旬の放送時点で短編作品の制作エピソードとなっており、どうやらこの短編が現実での高畑勲による長編第1作『太陽の王子 ホルスの大冒険』(68)に相当する位置づけ作品となるようだ。だが、短編に設定変更されたと言っても高畑勲がその作品でどのような変革を起こそうとしていたのかなどは変えられることなく反映されている。

その高畑勲の軌跡を網羅した一大展覧会『高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの』が7月より東京国立近代美術館で開催中だ。

(公式サイト:https://takahata-ten.jp/