Jun 09, 2026 column

映画『Michael/マイケル』を観て~「伝記映画」のジャンルで歴代1位興収10億ドルも視野~破格の成功

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スキャンダルについての回答

これは先にも書いた通り、マイケル・ジャクソンという人間の大きさが、一部の頭の固い映画評論家からは理解されにくいということの表れではないかと思う。

なお、少し付け加えれば、アメリカで当初一部ででていたマイケルのスキャンダルなどが一切触れられていないという批判は、スパイク・リーが指摘した通り、この映画は1966年から1988年までを描いたもので、そうしたスキャンダルはその後の出来事だということなのであたらない。また、それらのスキャンダルはすべて訴えた側が「金銭目的」でマイケル側を陥れようとしたことがFBIなどの捜査ではっきりし、2005年の刑事裁判で全ての訴因で無罪評決が出ていること。さらに、そうした訴訟を起こした人物との和解条項の中に、その中で語られたことなどは一切外部 (映画、メディアなど) に出してはならない、と記されているために、これらを映画で描くことができなかったという側面もあった。それが後からわかり、再撮影したため、公開が予定より1年遅れた。

最後にもうひとつ今作の見どころは、恐ろしくあらゆる点で再現性が高いということだ。マイケルの甥でもあるジャファー・ジャクソンがマイケル役を演じるが、撮影に入る前に2年間ほど、徹底してマイケルの映像や資料などを見て研究したという。ライヴの再現性も見事だが、徐々に彼がマイケルそのものに見えていくところはマジックだ。そして、細かい点でも、マイケルの自宅でロケをしたということなどから、マイケルがアルバム制作の過程のやりとりなど、これも「きっと、こうだったんだろうな」と思わせる再現性に驚かされた。

もちろん、こうした伝記映画は、ドキュメンタリーも含め、10人の監督がいれば10通りの物語が描かれることになり、これはそのうちの1ヴァージョンだということ。それを頭の片隅にいれつつ見ていても、マイケル・ジャクソンの真髄の一部に触れられたと感じた。続編の『2』が楽しみでしかたがない。僕は『3』まであってもいいと思っているが、果たして。

文 / 吉岡正晴 (音楽ジャーナリスト/DJ)

作品情報
映画『Michael/マイケル』

圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、アーティストの枠を超え、全世界的なアイコンとなった“キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソン。野心家の父のもと厳しいレッスンを経て、兄弟グループ、ジャクソン5で幼少の頃から大成功を収めた彼は、やがて青年となり、ソロアーティストとして歴史的名曲の数々を生み出し、全世界の寵児となっていく。しかし、その栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感、強権的な父親の呪縛、家族への愛と自分の中に溢れるビジョンとの間で葛藤する一人の人間の姿があった。

監督:アントワーン・フークア

出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン、マイルズ・テラー、ローラ・ハリアー、ケイリン・ダレル・ジョーンズ他

配給:キノフィルムズ

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2026年6月12日(金) 全国公開

公式サイト michael-movie.jp