初週から大ヒット、そのヒット要因
映画『Michael/マイケル』は、4月24日全米・全世界公開後、スカイロケットの如く、観客動員数を伸ばしている。6月6日時点で、いわゆる「音楽伝記映画」として現状歴代1位のクイーンの作品『ボヘミアン・ラプソディー』(興収:9億1千万ドル / 日本円で約1460億円 公開:2018) の記録を抜くのは間違いないと見られ、その次に「伝記映画」としての歴代1位記録を持つ『オッペンハイマー』(興収:9億7500万ドル / 日本円で約1560億円 米国公開:2023) をも抜き、おそらく、10億ドル (日本円で約1600億円) の興行収入を記録するだろうと見られている (現状、公開6週で全米、世界を含めて8億6000万ドルの興収、前記2作品は約半年の興行収入合計) 。「伝記映画」としても歴史に残る成績を収めることになりそうだ。文字通りナンバーワンだ。そして、この映画の成功とともに、マイケル・ジャクソンの音源の再生がSpotify、YouTubeなどで爆発的に伸び、ビルボード誌などのチャートにも映画関連楽曲などが軒並みエントリーしている。映画とはまったく関係のない「シカゴ」(2014年アルバム『エスケープ』収録) まで、なぜかチャート入りする勢い。いわば、まさに2026年は再びマイケル・ジャクソン旋風が吹き荒れているのだ。

では、音楽伝記映画なら、すべてがこのように成功するかと言えば、そうとも言えない。クイーンの作品は『Michael/マイケル』と同じプロデューサー、脚本家でもあり、それを踏襲していたが (本作が踏襲したと言ったほうが正しいか)、やはりそのアーティストにあらゆる側面から魅力がないとこうはいかない。
特に映画『Michael/マイケル』がこれほどまでの成功を収めたのは、マイケル・ジャクソンというアーティスト、人間の圧倒的な魅力に負うところが大きい。幼少期を失ったために、子供時代への憧憬によって培われたその独特の個性、卓越したダンスのセンス、ずば抜けた音楽的才能、そして、多くの読書に支えられた物事の本質を見抜く力、そして、何が正しいか、正義かを主張できるだけの胆力、そうした強固な個性、考え方に根付いたマイケル・ジャクソンという人間の性格、それらがすべて多くの人の支持を集めることになったのだ。
仮にマイケル・ジャクソンのことを斜に構えて見てきた人も、おそらく本作品を見ると、そういうことだったのか、全然、知らなかった、と言って、心を寄せることになるかもしれない。
