Nov 23, 2022 interview

戸田恵梨香×永野芽郁インタビュー 『母性』で悩みながら、お互いをフォローしあって生まれた〈母と娘〉の絆

A A
SHARE

「これが書けたら作家を辞めてもいい」――ベストセラー作家・湊かなえが、〈母と娘〉という最も濃い血縁と関係性を持つ2人の女性を衝撃的な展開と共に描いたベストセラー小説『母性』が遂に映画化を果たした。女子高生の遺体発見から幕をあけ、そこにいたるまで何があったのかが描かれる本作。同じ時間、同じ出来事を、母と娘の視点で語ることで映し出される真実と衝撃的な結末とは?

母と娘――やがて娘は母となり――娘が生まれる。三代にわたる女性たちが生きてきた長い歴史と時間を、怒涛の展開と独創的な世界観で見事に映画へと昇華したのは、『あちらにいる鬼』『月の満ち欠け』など、今年5本の新作が公開されるベテランの廣木隆一監督。

母が望むことを先読みし、母が喜ぶ姿こそが自分の幸福と思い込んで育ってきた主人公のルミ子に戸田恵梨香。ルミ子の娘・清佳に永野芽郁。共演に大地真央、高畑淳子、三浦誠己、山下リオほか。

本作の撮影直後には『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』(日本テレビ系)で再共演した戸田恵梨香さんと永野芽郁さんに、初顔合わせとなった『母性』で、どのように母と娘を演じ、極めて難易度が高い役をどう理解して、演技に結びつけたのかをうかがいました。

難易度が高い役への挑戦

―― おふたりは、『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』に続いての共演ですね?

永野 『ハコヅメ』よりも先に『母性』を撮っていたので、初めて戸田さんにお会いしたのが、この作品だったんです。

戸田 でも、最初に会ったのは『ハコヅメ』の情報解禁用の撮影じゃなかった?

永野 そうでした。

戸田 私は先に『母性』にインしていたんですけど、その撮影で初めて芽郁ちゃんと会って。そのときに「(『母性』の)現場どうですか?」って訊いてきたテンションとか、一緒に写真を撮っている感じが本当に気さくで、ハツラツとしていて。お互い気負うことなく出来そうだなっていう印象を与えてくれました。

永野 目の前で戸田さんがお芝居されている姿を見たら、自分が勝手に抱いていたイメージの戸田さんともいい意味で全然違っていて、毎回びっくりしながら見ていました。

―― 戸田さんと永野さんが母娘という設定が全く違和感なく成立していて驚きました。戸田さんがルミ子役を引き受けた決め手は?

戸田 撮影当時、私自身はまだ32歳だったと思うんですけど、いわゆる “母性”ってまだ経験していないわけじゃないですか。だから、最初に台本を読ませてもらったときに、「私だとミスキャスティングじゃないですか?」って聞いてしまったぐらい(笑)。

私が清佳を演じるには歳をとっているし、ルミ子を演じるには若い。「私はこの中のどこに立ってるんだろう?」って思いました。ルミ子が大学生とか結婚して間もない頃は演じられるかもしれないけど、娘の清佳が高校生になったときの母親は演じられないんじゃないかって思ったんです。でも、プロデューサーの谷口(達彦)さんが、なぜ私にオファーしたいのかを長い時間をかけて語ってくれて。

―― それで説得されたわけですね。

戸田 「恵梨香以外にできる人は見当がつかない」って言ってくださるんですが、私には見当がつくんですよ(笑)。でも、谷口さんが、ここまで言うんだったら、何かを見出だせるかもしれない。

今までは脚本を読んで、あまりにも自分が演じることがイメージできないものはお断りさせていただいていたんですけど、やっぱり挑戦するべきだなって思って。自分を奮い立たせるために挑戦させてもらったというのが正直なところです。

―― 永野さんが清佳役を引き受けた決め手はなんですか?

永野 ルミ子さん役が戸田さんで、原作が湊かなえさんという2点だけで、私は決めました。なので、「やります」って言ってから脚本を読んだので、難しいな―と思ってました(笑)。