西野七瀬インタビュー 舘ひろし演じる大スターを支える 愛ある“ドS”なマネージャー『免許返納!?』

現場で生まれたドSなマネージャー像

——今回演じられた、マネージャー・川奈舞の役作りで意識したことを教えてください。

「撮影現場にいそうなマネージャーさんになればいいな」と思って、自分の周りにいるマネージャーさんたちを観察しました。実際、マネージャーさんたちが現場で持っているカバンって、何かがあったらすぐ出せるように、水筒とか扇風機とか台本が入っているんです。本当に重たいんですよ。あと日傘を人に差すのは初めてで難しかったですし、腕が疲れました(笑)。マネージャーさんのご苦労がわかりましたね。「マネージャーさんってこんな感覚なのかな?」という思いを大切にしました。

——映画『帰ってきた あぶない刑事』に続く舘さんとの共演ですが、出演が決まった時、台本を読まれた時のお気持ちを教えてください。

めちゃめちゃ嬉しかったです。前回はそれほどご一緒するシーンが多くなかったんですが、今回はマネージャー役というすごく近い関係性の役柄だったので、楽しみでした。台本もすごく面白く読ませていただきました。最初は「南条さんに振り回されて、困っちゃう役かな?」と思っていました。でも、本読みをしたら「冷たくしてください」「バカにしてください」という感じだったので (笑))、そこから切り替えました。

——舘さんとはどのようなお話をされましたか?

本読みの段階で舘さんからは「もう川奈だねぇ」って言ってもらえて、「遠慮しないで、もっと冷たく言っていいよ」と言っていただけました。そうは言っても、どこかで遠慮しちゃうから、難しいなぁと思っていたんですけど、撮影に入ってからも、頻繁に「もっと吐き捨てるように! 」と舘さんがアドバイスをくださったので、完全に遠慮を捨てて演じることができました。舘さんじゃなかったら、あんなに強くは言えなかったと思います (笑)。

——撮影現場でのお二人の雰囲気を教えてください。

撮り始めてから撮影現場で思いついた台本にはないアイデアがたくさんあるんです。舘さんがアイデアをたくさん持ってきてくださって、それを日々、楽しみにしていました。「今日は舘さん、どんなアイデアを持ってきてくださるかなぁ」って。最初から最後まで、毎日現場に行くのが楽しみでした。舘さんは現場にいない時間に、ご自身の南条という役も、私の川奈という役も、どうやったら魅力的になるかとたくさん考えてくださったんだと思います。そのアイデアを受け取るのが楽しみで、考えてくださるのも嬉しかったです。何がきても対応できるようにしないとと思って現場に臨んでいました。

たとえば、映画冒頭に南条の古希のお祝いパーティーが行われて、楽屋で南条がめっちゃ怒って物に八つ当たりしようとして転ぶのを見て、川奈がドン引きしているシーンがあるんですけど、段取りのときは、南条に近づいて「え、大丈夫ですか?」という感じで演じていたんです。だけど「来なくていい、川奈は全然心配しなくてもいいよ。なんなら『空振り?』ってセリフを足そう」と、台本にはないセリフをその場で足しました。冒頭で、川奈はどういうマネージャーなのか、表ではちゃんとしている南条も、裏では、全然大人げない感じなんだと、キャラクターをわかりやすく見せられたのは、その場でのご提案があったからだと思います。

南条弘と舘ひろしの魅力

——南条弘みたいな俳優をどう思われますか?

表面的に崩せない俳優像があるから、裏を知ると驚きはするけど、かわいらしいなって思いました (笑)。素直だし、変に何かを企んでいるわけではない。まっすぐで純粋ではあるので、素敵な人なんじゃないかな。

——では、舘さんの魅力を教えてください。

舘さんは、とても紳士的で、現場でも「大丈夫?」「これでいい?」と、こまめに聞いてくださってすごく優しいんです。だから南条とイコールではないですけど、現場で一緒に演じていると、南条さんと舘さんどっちかわからなくなる瞬間が、たくさんありました。本当は私一人だけサングラスをかけるシーンだったけど、舘さんが「二人でかけちゃおうよ」とおっしゃって、「『あぶ刑事』じゃないけど、そうしたら面白いんじゃない?」ってこともありました。舘さんの出演された作品が、劇中にエッセンスとして登場するんです。そんなことができるのって舘さんぐらいじゃないかな。それを舘さんご自身も楽しんでやってらっしゃるから、そこも魅力的ですよね。

——西野さんが本作で注目してほしいシーンはどこですか?

台本では見ているだけだったアクションシーンに私が急遽参加することになったんです。舘さんが「川奈も助けに行ったほうがいい」と提案してくださったおかげで、ただ冷たいだけじゃない、愛のあるマネージャー像が作れたと思います。そこは注目してほしい大事なシーンですね。

——本作で南条は「免許返納」という人生の転機に直面しますが、西野さんにとっての大きなターニングポイントはいつですか?

やはりグループ (乃木坂46) の卒業ですね。当時は帰る場所がなくなる感覚で、「仕事あるのかなぁ、一人でやっていけるのかなぁ」という不安もありました。ゼロからリセットされた気持ちでした。そこから出演させていただいた作品ごとに、自分の中で乗り越えてきたものがあるので、撮影が終わったころに、ひとつでも前に進めていたらいいなぁと思って今も演じています。

どこか自分と繋がる遠すぎない役柄

——映画『90メートル』ではケアマネジャー、『未来』では語り、と幅広い役柄を演じられていますが、役へのアプローチ方法を教えていただけますか。

「これで行きたい! 」ということは、どの作品でも特にないんです。基本的に、現場で役をつかみたいので、お相手の方と話したり、監督と相談したりしながら作っていくスタイルですね。でも、どの役もどこか自分と地続きの部分がある役が多い気がします。自分と離れていれば離れているほど、すごく難しく感じるのかなぁって思います。

——本作の川奈舞というキャラクターについては、どう捉えていますか?

川奈は南条さんの担当になるまで、はっきりとした目標を持っているわけでもなく、地に足がついてない状態だったと思うんです。南条さんと一緒に行動することで、かなり刺激をもらって、川奈自身も南条さんも変化していく。お互いにとってすごくいい出会いだったんだと思います。

——ご自身と似ている部分はありますか?

川奈って「大御所の人にもズカズカ言える現代的な人」だと思いますけど、私は、彼女みたいなキャラクターは嫌いじゃないかな。裏表がなくて良いですよね。私も結構、思ったことを言ってしまう方なので、自分とそう遠くはないのかなとも思います。

——以前、インタビューさせていただいたときに「コメディは難しい」とおっしゃっていましたが、本作に出演されて、やはり難しかったですか?

今回は”コメディ作品”と意識しないで演じました。無理に面白くしようとしなくても、普通にやっていれば面白く見える作品だと思ったんです。笑わせようというより、二人の関係性から自然と笑いが漏れるように演じたいなと思っていました。本作みたいに、わかりやすいギャグシーンじゃなく、なんか笑っちゃう。クスッと笑える、そういう作品をまたやりたいですね。

——これから映画を観る方へメッセージをお願いします。

私自身、内容を知っているのに、試写を観てすごく笑ってしまいました。最近こういう笑えるコメディ映画って少ない気がするんです。気持ちよく、笑って観られる作品だと思うので、ぜひ難しいことは考えずに楽しんでほしいです。一番の見どころは、とにかく舘さんの面白さです!

取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 立松尚積

映画『免許返納!?』

南条弘70歳、職業・俳優。めでたく古希を迎えたが、この歳にして人生最大の窮地に陥る。事の発端は、腐れ縁の俳優仲間が起こしたバイク事故へのちょっとしたコメント。世間は「さすがスター俳優、南条弘!」「南条最高!」と持ち上げ、一人歩きした論調はいつしかマネージャーや家族をも巻き込み、南条の意図とは全く異なる形で拡大解釈されてしまう‥‥「で、南条さんはいつ“免許返納”するんですか?」──まだまだアクションもやりたい映画スター・南条弘。人生最大のこのピンチをどう切り抜ける?

監督:河合勇人

出演:舘ひろし、西野七瀬、黒川想矢、河井⻘葉、伊能昌幸、佐藤五郎、泉⾕星奈、 ⻫藤暁、内藤剛志、ベンガル、⼤地真央、品川徹、⻄岡德⾺、南野陽⼦、⼋嶋智⼈、中⼭忍、MEGUMI、真⽮ミキ、吉⽥鋼太郎、宇崎⻯童

配給:東映

©2026「免許返納!?」製作委員会

2026年6月19日(金) 全国公開

公式サイト menkyohenno-movie