Nov 03, 2017 interview

「山田くんのエドに声をアテたい!」アニメ版エド役・朴璐美が『ハガレン』愛を語り尽くす

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2001年の連載開始を皮切りに、王道少年マンガをベースにしつつ人間の本質へ迫るストーリー、魅力溢れるキャラクターたちが織り成す群像劇は多くの読者を惹き込み、今や世界中で愛される作品となった「鋼の錬金術師」。アニメ、ゲームと様々なメディアミックスを展開してきた本作は、2017年ついにVFXと豪華キャストによって実写化を果たした。アニメの第一期から本作の主人公エドに命を吹き込んできた声優の朴璐美は、実写映画を、Hey!Say!JUMP山田涼介が演じるエドを、どのような想いで観て、どのような想いを抱いたのか?

 

<ハガレン6連続インタビュー企画>
 第1回/アニメ版エド役 朴璐美インタビュー

 

 

──実写化の製作決定のアナウンスから約1年、完成までの月日を色々な気持ちで待っていたかと思われます。まずは拝見されての率直のご感想を伺えれば。

まず、私にとって思い入れのある作品『鋼の錬金術師』の実写化の衣装を私の親友・西原梨恵ちゃんが担当することを、実写化決定発表される前から知らされ、私の大切な友人が、私の大切に想っている作品と出逢ったことへの、驚きと、喜びと、気恥ずかしさで、いっぱいになりました(笑)。また、山田(涼介)くんとは完成披露以前に会食していて、お互いにエド話に花を咲かせていたもので、母でもない姉でもない、伯父でも叔母でもないのに、まるで身内かのようなドキドキした気持ちで試写会の席につきました(笑)。そして映画が始まると…スクリーンの中に、この前一緒にお食事をした山田くんはいなくて、鋼の錬金術師・エドがいました。

──おぉ!03年からエドを演じ続けてきた朴さんから見ても、山田さんのエドは間違いなく本物だと。

この『鋼の錬金術師』というタイトルはとても“重い”んですよ。演じるにあたり、エドにはもちろん、作品自体に自分自身を捧げなければならないほど、ものすごい吸引力で色んなものを持っていってしまうんです。“お父様”の「エネルギー、よこせ!」じゃないですけど(笑)。でも、24歳の山田くんが全身全霊でこの作品を背負って立っているという力強さを感じました。映画にかける山田くんの熱意は、まるでエドの背負う運命へ立ち向かう姿と重なって、胸が熱くなりましたね。

 

 

山田くんのエドを観て、思わず声をアテたい衝動に駆られました

 

──内容はいかがでした?

曽利(文彦)監督の『ハガレン』への熱量、愛情がとにかく半端ないです。CGを多用したアクションに圧倒されたのはもちろん、『ハガレン』をわかっている人でなければ描けない描写が随所に散りばめられていて、脚本はどなたが描いたのだろうかとエンドロールを見ましたら…まさかの曽利監督が脚本も手掛けていらっしゃった……曽利監督パネぇ!! と、これまた胸熱になりましたね。

──全108話という壮大なエピソードの中から、良いエッセンスを抜き出し凝縮させたのは、ファンとしても驚きでした。

あれだけ濃い内容をシッカリ2時間という時間で描ききる。それだけでなく、原作・アニメを知る人間のハートを鷲掴みにしたまま、ストーリーを進行させていく。もう……単純にスゴい! 語彙力なくて申し訳ないです(笑)。『ハガレン』はこれまで実写化の話が出ては、立ち消えになってきたと伺っています。長年実写化が適わなかったのは、曽利監督のハンパない熱量と山田くんがエドを演じるタイミングの全てが噛み合う瞬間を『ハガレン』という作品は待っていたんじゃないかな?と、思います。私もエドを演じることが決まった時、『ハガレン』という作品に「み~つけた~!」と、見つけられてしまった感覚があったんです。きっと曽利監督、山田くんもそうなんじゃないかな?二人のエネルギーが完全に高まって、ガチンコでぶつかり合える時を『ハガレン』はジッと待っていたんじゃないかと、私は思ってしまいますね。

──『ハガレン』という作品に触れた人は、吸引力に惹かれてしまうものなんでしょうね。原作が終わり7年経った今でも、7月のファンイベントは超満員、現在も開催中の『鋼の錬金術師展』は連日満員。そして朴さんの役者人生に大きな契機を与えた作品ですから。

もうねぇ、ブラックホールみたいに吸い込んでいくんですよ。どんだけ欲しがりさんなんだ!強欲のグリードか!ってくらい(笑)。

──まさに「この世の全てが欲しい!」。

そういう作品ですから、冒頭のエドとアルの幼少時代の場面でアルが「 おなかすいた … 」「さむいし … 」というセリフを聴いただけで、もうブワッ!と涙腺が決壊してしまって(笑)。

──早すぎます!

ですよね、スタートで早々これですよ(苦笑)。その後に『鋼の錬金術師』というカッコ良すぎるタイトルの出方にもブワッ!と涙腺決壊。そして本編に入り、成長したエドたちの物語が始まるわけですが、キーヴィジュアルや、予告編では、シリアスなエドがフィーチャーされているのに、本編は序盤からコミカルなエドが。もう……山田くんエドがめっちゃエド走りしてる!!完コピしてる!!と、はしゃいでしまいました(笑)山田くんがどれだけ『ハガレン』を愛し、どれだけ『ハガレン』を恐れ、どれだけ『ハガレン』を感じて背負い、エドとシンクロしているのかが、場面一つ一つから伝わり、これまた涙腺決壊。もう不思議な気持ちでした。あぁ、このエド走りに声をアテたい!という、そんな衝動に一瞬駆られましたね(笑)。

 

 

あなたたちを涙の暴風雨が待っていますよ

 

──それも観てみたい! エド以外の物語を彩るキャラクターで、これは!と思うキャラはいましたか?

大泉洋さんのショウ・タッカー…あれはヤバイですね。

──大泉洋版タッカーは、なんと言いますか……危険ですよね(笑)。

タッカーの危険な面を、内から掘り下げていらして「あぁ、大泉さんはきっとサイコパスだ……」と、失礼ながら思ってしまいました(笑)。危うさがスクリーンからビシバシと伝わってくるんです。ヴィジュアル面という“ハード”を寄せるより、内面の“ソフト”の部分を掘り下げていらっしゃって、タッカーのその後……という“もしも”を観たような気持ちになりましたね。あと、松雪泰子さん演じるラストの存在感が、強烈に切なかったです。「あなた達と変わらない外見に五感もある、感情もある。人間よ」というセリフの「人間よ」に込められた重さ。松雪さんはこの言葉にラストの核を感じて演じられたんじゃないかな…と、思うほどゾクリとしました。そして、ウィンリィ!本田翼さん!もう、ウィンリィそのものでした!愛しの弟・釘宮理恵と一緒に観ていたのですが、鑑賞後「ウィンリィいたねーー!!」と二人で声を揃えてしまったくらい、私たち兄弟はテンション上がってしまいました(笑)そしてそして…アル…!もう、素敵でした!

──実写版の目玉の一つ、アルフォンスの存在感は見事でした。

序盤、なかなかアルが喋らないんです。とっても動いているのに喋らない。もうね、ドキドキするんですよ。その鎧からはどんな声が聴こえてくるの?と。そして徐ろに喋り始めるんです。…アル!アルだ!アルが喋った!!!となり、またもや涙腺決壊!アルを演じた水石(亜飛夢)くん、きっと理恵のアルに導かれ、刺激され、共に歩いたんじゃないかな。アルの繊細さ、エドを想う気持ち、揺れながらもしなやかな芯があるアル。エド、アル、ウィンリィ、三人の場面で私、涙どころか鼻水すら滝のように流れてしまい、もはや涙腺崩壊。マスクをつけての観賞だったので、文字通り溺れかけました(笑)。

 

 

──終始ボロボロになりながらの観賞ですね(笑)。

滂沱のごとくの涙、というのはこういう時に使うんだなと実感でした(笑)。

──朴さんはもちろん、釘宮さんも驚きの声を上げられたということが、何よりの作品への力強い声援になっていると思います。ファンの中には、世界観を再現できているか?と不安に思う方もいらっしゃると思いますので。

みなさんの不安に思う気持ちも、怖いと思う気持ちもわかります。私も一緒でした。でもね、私はわりと正直な人間なので、良いと思えていなかったら、この取材はお断りしていたと思います、きっと(笑)。確かに、この実写「鋼の錬金術師」の世界に入りこむまで、始まってしばらくは少し時間がかかるかもしれません。でも、その先では、涙の暴風雨があなたを待っています。涙腺崩壊につき、雫が滴り落ちないよう、マスク着用をオススメします(笑)。