Nov 03, 2017 interview

「山田くんのエドに声をアテたい!」アニメ版エド役・朴璐美が『ハガレン』愛を語り尽くす

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荒川先生は人間の生きるための術を『ハガレン』で伝えている

 

──プライドの中みたいな映画ですね。

原作・アニメファンの方々は「このシーンは、あの!」と、きっと記憶を強烈に弄られてしまいますよ。そして山田くんをはじめとしたキャスト・スタッフさんたちからの迸るハガレン愛と、その愛を凌駕するほどの熱量が、実写『鋼の錬金術師』の世界を創り上げていることを感じられるはずです。まだ『ハガレン』に触れていない方々は、この実写版からスタートして、もっともっと『ハガレン』の世界に触れてほしい。荒川弘先生の魂を感じて欲しいです。原作・アニメ・実写、ジャンル問わず、鋼の錬金術師という作品が一人でも多くの方に届いてくれたら、この作品に携わった一人の人間として、こんなに嬉しいことはないです。

──素晴らしい一言! 朴さんの『ハガレン』への熱は、やはり相当なものですね。

いやぁ、『ハガレン』の持つ力は本当に凄いんですよ。山田くんもその力にやられちゃってるんでしょうね、間違いなく…今日会ったら、金髪になっていました!

──なんと‼

試写を観させて頂いた直後に、山田くんたちとお食事したんです。何せ涙腺崩壊している私は、胸熱の興奮状態のまま、山田くんに「スクリーンの中にエドがいたよ!」と伝えました。山田くんは真剣にその言葉を受け止めてくれていました。彼は原作・アニメをとてもリスペクトしてくれていて、そしてこの作品を心底愛しています。その彼が「今度の取材の時、金髪にしていこうかな?」と言い出したんです。「お、じゃぁ私も金髪でいっちゃおっかなー」と冗談半分に返したのですが…ええ、本日山田くんは、金髪です(笑)。覚悟のほどが伺えますよね。この作品に懸ける気迫が一つ一つの行動に見える。作品を一心に背負おうとしている強い姿勢で溢れている。きっと山田くんだって、怖いだろうに…まさに彼は、エドです。たくさんの想いの詰まったこの実写「鋼の錬金術師」を一人でも多くの方に観ていただきたいと思います。何か言うのは観た後で、とにかく観て欲しい。観て下さい。実写ならではの“手パン”は最高です。音がもぉ…!!そしてここだけの話、続編希望します。とにかく実写映画にドップリ浸かったその後は……アニメも観て、原作も読んでね♪(笑)。

──実写版を観た後、思わず第一期から『嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(11年)まで遡って観てしまいました。作品の持つ吸引力のとてつもなさを実感しました。

やはり強力ですねぇ(笑)。これだけ愛され続ける魅力的な作品であるのは、荒川先生という人のスケールが大きいからだと思います。生きるとは?命とは?自分の存在とは?と、普遍的なテーマがふんだんに盛り込まれていて、それをカッコつけず、激しい熱量の元、シンプルにダイレクトに伝わってくる。そしてシンプルに生きることがどれだけ難しいか、いや、自分で難しくさせているかを教えてくれる。「痛さ」が、確実にあるから。それが『鋼の錬金術師』が今なお愛されている理由なんだと思います。

 

 

──以前「『鋼の錬金術師』は私のバイブル」と仰っていたのを思い出しました。

仰々しく聞こえるかもしれませんが、『ハガレン』とは“バイブル”。それ以外の言葉は見当たりませんね。

──最後に、人生の一冊、心の一冊を伺っているのですが、朴さんにとって大切な一冊を『鋼の錬金術師』以外から選んでいただきたいなと思っております。

一見、対称的に思えるかもしれませんが、荒川先生の少年漫画に対して、少女漫画と言われる、萩尾望都先生の『ポーの一族』。でも、萩尾先生の絵も荒川先生と同様、観るだけで力がいるし、力をいただける。何より『ハガレン』同様、普遍的なテーマが盛り込まれた「痛み」があるんです。そして、この作品の主人公がエドガーとアラン。『ハガレン』はエドとアル……運命を感じます(笑)。私にとって『ハガレン』と『ポーの一族』の二つは、大切なバイボォー!!です。

取材・文/ますだやすひこ
撮影/中村彰男

 

プロフィール

 

朴璐美(ぱく・ろみ)

1972年1月22日生まれ。東京都出身。1993年に「演劇集団 円」の門戸を叩き、1995年に正式会員に昇格、本格的な俳優活動を開始。「ブレンパワード」(98年)のカナン・ギモス役で声優デビューを果たすと、ハスキーで艶のある声を活かし、「∀ガンダム」(99年)のロラン・セアック、「鋼の錬金術師」(03年)のエドといった青少年役から「NANA」(06年)の大崎ナナ、「鬼平」(17年)のおまさといった大人の女性役と、老若男女幅広い役を演じこなす超実力派。2006年開催の第一回声優アワードでは主演女優賞受賞。声のみならず、女優として「透明な血」「GS近松商店」「麦ふみクーツェ」など舞台へも精力的な活動を続け、12月には劇団桟敷童子公演「標〜shirube〜」に出演。さらにはボイススクール「studio Cambria」を主宰し後進育成に取り組むなど幅広い活躍を展開している。

 

作品紹介

 

映画『鋼の錬金術師』

あらゆる物質を分解して再構築する「錬金術」。幼い兄弟エドワードとアルフォンスは亡くなった母を生き返らせたいという思いから、錬金術における最大の禁忌である人体錬成に挑むが失敗し、その代償としてエドは左脚を、アルフォンスは身体全てを失い鎧に魂を定着させた姿になってしまう。数年後、不屈の精神で立ち上がり、国家錬金術師の資格を得たエドは、奪われた身体を取り戻すため、絶大な力を持つという「賢者の石」を探す旅に出る。そして兄弟は再び“人間の命とは何か”という命題と向き合うこととなる。

原作:荒川 弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
監督:曽利文彦
出演:山田涼介 本田 翼 ディーン・フジオカ 蓮佛美沙子 本郷奏多/國村隼 石丸謙二郎 原田夏希 内山信二 夏菜 大泉 洋(特別出演)佐藤隆太/小日向文世/松雪泰子
脚本:曽利文彦 宮本武史  
音楽:北里玲二
主題歌:MISIA「君のそばにいるよ」(アリオラジャパン)
配給:ワーナー・ブラザース映画
2017年12月1日(金)全国ロードショー
©2017 荒川弘/SQUARE ENIX ©2017映画「鋼の錬金術師」製作委員会
公式サイト:http://hagarenmovie.jp

 

 

原作紹介

 

「鋼の錬金術師」全27巻 荒川弘/スクウェア・エニックス

2001年~10年にかけて「月刊少年ガンガン」で連載されていた作品。幼い頃に亡くなった母にもう一度会いたいという一心で錬金術において最大のタブーである人体錬成を行ったエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック兄弟。しかし錬成は失敗し、兄は左脚を、弟は全身を失ってしまう。エドワードは自分の右腕を失うことと引き換えにアルフォンスの魂を錬成して、鎧に定着させることに成功し、なんとか一命を取り留める。大切なものを失った絶望の中、兄弟は「元の身体に戻る」という決意を胸に、その方法を探すべく旅に出る。

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朴璐美さんおススメ本

 

「ポーの一族」萩尾望都/小学館

吸血鬼伝説をベースに、少年の姿のままで永遠に生きる運命を背負わされた“バンパネラ”エドガーの波乱に満ちた生涯を描いた一大叙事詩。萩尾による繊細かつ美麗なタッチと、ホラーやロマンスといった要素を絡めながら、死と生を巡る人間の深遠なる部分に深く切り込んだストーリーは、性別や世代を超えた多くの人に衝撃と感動を与えた。1976年には第21回小学館漫画賞少年少女部門を受賞、まさに少女マンガの歴史を変えた一作。今年には約40年ぶりとなる新エピソード「春の夢」を発表、話題を呼んだ。様々なメディアミックス展開もしており、2007年のラジオドラマ化の際にエドガーを朴璐美が演じた。朴は人間の本質に迫る作品に強い縁があるようだ。

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