累計230万部を突破した米澤穂信による学園青春ミステリー『氷菓』。待望の初実写化となる今作で、好奇心旺盛なお嬢様、<千反田える>をえんじた広瀬アリス。気になったことには猪突猛進になり、“省エネ主義”の<折木奉太郎>を巻き込み謎解きを始める今作について、たっぷりと話してもらった。
<える>はキャラの個性が強すぎて監督と頭を抱えました(笑)
──原作『氷菓』に対して、どんな印象をお持ちでしたか?
実は、原作の小説よりもアニメの印象が強かったんです。かなり人気のあるアニメだったので、“実写化すればいろんな意見があるんだろうな”と思っていました。でも、この映画『氷菓』は、小説の実写化ということなので、原作の世界観を大事にしようと思ったんです。
──広瀬さんが演じる<千反田える>は、お嬢様の役でしたが、演じることで難しかったことはどんな事でしたか?
<える>はキャラクターの個性が強いので、監督と一緒に頭を抱えながら作り上げていきました(笑)。山﨑賢人さん演じる<折木奉太郎>と古典部で出会うシーンは、<える>のキャラクターを印象付けるシーンだったので、リハーサルを何度もやってから挑んだほど! かなり難しいキャラでした。
──山﨑さんと打ち合わせなどはしたんですか?
<える>と<奉太郎>は、もともとデコボコな2人なので、ある意味“息が合わない方がいいんじゃないか”と話していたんです。山﨑さんとは共演が3回目だったんですが、こんなにも役同士で対峙するのは初めてだったので、探り探り演じながら2人の関係性を作り上げていった感じなんです。
──<える>は可愛らしいところがたくさんありますよね。
もう、自分とかけ離れすぎてて全部がかわいいんです! お嬢様ではあるんですが、子供っぽさがあってオテンバなんです。走っているときも“ぱぱぱっ”って効果音が付きそうなほどバタついていて(笑)。“親しみのあるお嬢様”という雰囲気だったので、すごく好感が持てました。
私の中身は“男”だと思います
──広瀬さんの本来の性格と、どのくらいかけ離れているんですか?
私の中身は“男”だと思います(笑)。どちらかというと、<奉太郎>の気持ちのほうがよくわかるんです。やらなくていいことはやらないですし、やらなくちゃいけないことでもやらなかったり…(笑)。 そんなところが、すごく似ていると思いました(笑)。
──あはは。そうなんですね。
ここまで自分と役柄が違うものを演じていると、あらためて演技の面白さを感じるんです。
──それが演じる醍醐味ですよね。
はい。さらに<奉太郎>とのトークのリズム感も、トーンも、テンポも、テンションもすべてわざとあわないように話しているので、最初はふたりの掛け合いがすごく気持ち悪かったんです。でも、慣れてくると不思議と楽しくなってきて! 結果的に、すごくいい2人の関係性が出来たんじゃないかなと思います。
──自分と役との差があるほど、わからないことが多いと思うんです。そういうときは、どう役にアプローチしながら演じているんですか?
クランクイン前に役についてたくさん考えるんですが、ちゃんと役柄を理解できるのは現場に入ってからなんです。現場での空気感や、演じることで生まれてくる想像などをもとに演じていると、演じるキャラの性格の輪郭がしっかりしてくるんです。そうすることで、どんどん役にハマっていく気がします。
──<える>はかなり好奇心の強いお嬢様でしたよね。気になる事には一直線になっていましたが、広瀬さんとも通じるところがあるのではないでしょうか。
う~ん…。好きなものに対して猪突猛進なところは似ているかもしれないです。でも、気になることがあっても、10分15分くらい経つと、すぐに忘れちゃうんです(笑)。
──ある意味、ポジティブなのかもしれないですね。さて、今回は“私、気になります”という決め台詞のようなものがありましたが、その表情で気を付けたことはどんなことですか?
監督とモニターをみながら、顔のアングルに気をつけながら撮影しました。より目力が強くなるように、顔の角度などを監督から教えてもらいながら撮影したので、スタッフのみなさんと一緒に作り上げていきました。さらに、<える>は「…」という、何かを案じているようなシーンが多いんです。そこでどう<える>の存在感をだしていけばいいのかを現場で毎回決めていました。
──監督といいコミュニケーションが取れていたんですね。
そうですね。女性の監督だったので、「綺麗に撮りたいんです」と言ってくれたんです。それがものすごく嬉しかったんです。綿密に話し合いながら撮影が出来たので、すごく充実した撮影期間でした。