ある意味“伝説”のサッカー選手、“カイザー”ことカルロス・エンヒキ・ラポーゾについてのドキュメンタリー映画、『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』。北中米ワールドカップ真っ最中のこのタイミングで、本作の特報映像が公開された。
ジーコ、ペレ、ロナウドが出演した南米最大のトーク番組「ジョ・ソアレス・ショー」のゲストに呼ばれた“カイザー”ことカルロス・エンヒキ・ラポーゾを、あなたは知っているか? 元ブラジル代表のレナト・ガウショが「サッカーをしなかった最も偉大なサッカー選手」と呼ぶこの男は、ベベト曰く「サッカーがクソ下手」だったが、今のようにインターネットで情報が入手できるようになる前の1980年代〜1990年代に、その話術と数々の策で印象や情報を巧みに操り、スター選手になりすまし、マフィアの親玉を丸め込むなどして、ジーコやベベト、ロマーリオらのチームメイトとしてフラメンゴ、フルミネンセ、ヴァスコ・ダ・ガマなどのプロのサッカーチームを渡り歩いた。

本作では、ベベトが「笑える1日」と振り返る事件など、カイザーの数々の逸話が本人や当時を知るサッカー関係者らの口から語られる他、当時の映像や写真、再現VTRによって紹介される。インタビューに応えたジーコは「彼はプロサッカーの面汚し」と非難するが、特筆すべきは、2010年に彼自身が明らかにするまで、レポーター、選手、監督、誰一人として、カイザーの嘘を暴露しなかったという事実。それほどまでに人を魅了する、カイザーの魅力とは? フェイクニュースが増えた今、笑いながらも、ファクトチェックの重要性や、自分が詐欺に加担しうる危険性を改めて感じさせる問題作が、遂に日本上陸する。


本作の公開を前に、鹿島アントラーズの通訳としてジーコをはじめとするブラジル人選手・監督を支え、2002年から日本代表通訳として2006 FIFAワールドカップにも帯同し、本作のポルトガル語字幕の監修を務める鈴木國弘のコメントが届いた。
▼鈴木國弘 コメント
人それぞれ自らの人生を生きている。本来であればそれを他人がどうのこうのと言い、または否定するというのはいかがなものか。しかしながらこのドキュメンタリーを見てもわかる様に、人生は非常に多くの他人が関わって形作られている。特にサッカーが国技でラテンの熱狂的なサポーターを有するブラジルで起きた事象である事が興味深い。おそらくその辺に制作チームはフォーカスしたかったのだろう。
“カルロス・カイザー”
個人的には30年近くジーコをはじめとするサッカーに本気で全身全霊を捧げたブラジル人達と身近に関わってきた身としては嫌悪感さえ覚える。しかしながら彼の様な異様な人生を生きた人物を知る意味では秀逸なドキュメンタリーであろう。情報過多の現代では絶対に起こり得ないお伽話的サッカーストーリーとして後世にまで残る作品かもしれない。
映画『カルロス・カイザー サッカー史上最も奇妙な成功者』は、2026年8月14日(金)より全国順次公開。

サッカーをしなかった最も偉大なサッカー選手”カルロス・エンリケ・ラポーゾ”。人々から”カイザー”と呼ばれた男は巧みな話術や人脈を駆使してブラジルや海外のクラブと契約を結び続け、プロサッカー選手としての経歴を積み続ける。しかし、加入後は故障を装い、練習中にトラブルを起こすなどして公式戦でプレーする状況を徹底的に回避する。さらには、海外クラブやエージェントからのオファーを装うため、偽の携帯電話を使うなどして自らを演出、周囲を欺き続けた。2003年に26年のプロサッカー選手としてのキャリアを終え、2010年から自らのストーリーを話し始める。しかし、イギリスのドキュメンタリー監督であるルイス・マイルズに、さらなる嘘を突きつけられたカイザーは、遂に、他人の人生を生きた理由を自ら語り始める。
監督:ルイス・マイルズ
出演:カルロス・エンヒキ・ラポーゾ(カイザー)、ジーコ、ベベト、レナト・ガウショ、アレクシャンドレ・トーレス、リカルド・ローシャ
配給:NEGA
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2026年8月14日(金) キノシネマ新宿、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開