本年度アカデミー賞主要6部門ノミネート、音響賞・編集賞を受賞した映画『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』が10月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか、音にこだわりのシステムを持つ劇場でついに公開。監督および製作者は、本作の持つメッセージ性を考慮し、誰でも隔たりなく映画館で本作を楽しめるようにしたいという意図から、世界各地の映画祭や全世界の劇場公開においては「バリアフリー字幕版」で公開される。
この度、 主演のリズ・アーメッドが本作について語る特別映像とダリウス・マーダー監督からの熱いメッセージが公開された。
主演リズ・アーメッドが語る特別映像
ダリウス・マーダー監督からのメッセージ全文
私は何年もかけて本作の、音楽、ストーリー、登場人物の背景など、映画のベースとなることについて深く調査してきました。その中には、60代で抗生物質を服用した後に耳が聞こえなくなった私の祖母の経験も含まれています。彼女(ドロシー・マーダー)は、NY在住のユダヤ人でレズビアンでもあり、写真家そして映画ファンでもあります。アルコール依存症の孤児として生きた彼女は、聴覚障害者とろう者という2つの文化の間でどちらにもつながる手段がないまま、さらに追い詰められたという経験を持ちます。彼女は、映画にバリアフリー字幕をつけるよう嘆願する活動に時間を費やしました。私はこの映画を彼女の思い出に捧げます。
私にとって重要だったのは、この映画が”本物”であり、”直感的なアプローチ”であること、そしてこの物語が、ろう者、難聴者、そして聴覚障害者を親にもつ自身は聞こえる子どもなど、多くの人々が有する文化や生き方の「入り口」となることでした。主演のリズ・アーメッドは、本物の聴覚障害を体験するために、様々な強さのホワイトノイズ(換気扇やテレビの砂嵐の音のように、すべての周波数において強さが一定になるノイズのこと)を発するカスタムメイドの装置を耳に装着し、自分の声さえも聞こえないという、進行性の聴覚障害に最も近い状態を体験することができました。
映画とは、ある程度は”まやかし”だと思われています。しかし、この作品について言えば、私自身、限りない方法でこの映画の中を生きましたし、この映画に関わったすべての人もこの映画の中で生きてもらいました。『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』は、この映画を観ることが、観客にとって”単に観たもの”としてではなく、その中で”生きたもの”として記憶に残るような直感的な体験をできるように努めた作品です。
本作について映画・音楽ジャーナリストの宇野維正は「映画館でしか聞こえてこない”音”がある。映画館でしかなることができない”独り”の境地がある。近年、この作品ほどそれを強烈に体験させてくれた作品はない」とコメント。さらに、映画監督の宮崎大祐は「いままで耳を傾けることも目をこらすこともなかったまったく新しい世界がたしかに存在しているはず」、映画音楽研究の長門洋平は「普段私たちが普通に聞いている映画の音が、”普通”に聞かれるとはどういうことなのかという問いを鋭く突きつけられた」と語った。
映画『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』は、10月1日(金)より劇場公開。
突如難聴になったドラマーのルーベンは、一緒にバンドを組む恋人ルーに難聴者のコミュニティに連れていかれる。難聴であることをハンディとして捉えていなコミュニティの人々と過ごしながらも、その現実を受け入れることの難しさに直面するルーベンは、自分の人生を前に進めるために、ある決断をする・・・。人生の挫折・再生を描きながら、その主人公の人生を疑似体験できる秀逸な感動作。
監督・脚本:ダリウス・マーダー
音楽:ニコラス・ベッカー、エイブラハム・マーダー
出演:リズ・アーメッド、オリヴィア・クック、ポール・レイシー、マチュー・アマルリック、ローレン・リドロフ
配給:カルチャヴィル × Filmarks×GEM Partners
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2021年10月1日(金) 劇場公開