May 23, 2018 news

ウェス・アンダーソン監督が13年ぶりの来日! 映画製作中に誕生した愛娘の“日本愛”が伝染

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第216回

ウェス・アンダーソン監督が、5月22日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた、映画『犬ヶ島』の来日記念舞台挨拶に登壇した。

大好きな日本を舞台に4年の歳月をかけ作り上げた本作を引っ提げ、約13年ぶりの来日を果たしたアンダーソン監督は「今日が僕にとってのワールドプレミアです!」と、日本の観客に披露できることを心から喜んでいた。

久しぶりの日本について、アンダーソン監督は「この6年間、日本のことしか考えてなかったです」と打ち明けると、日本の急速な変化に驚きつつも「この映画の製作中に娘が生まれて、今2歳半になるんですけど、(僕と同じように)娘もずっと日本のことを考えながら育ってきたので、今回は彼女(娘)と妻も一緒に来日したんですが、彼女はとにかく喜んでいました。その異常な興奮が僕にも伝染したくらいです(笑)」と照れ笑いを浮かべていた。

また、本作について、アンダーソン監督は持参した手紙を読み上げると「2012年の頃、一つのアイデアが浮かびました。何頭かの犬がゴミの島に置き去りにされて、それを助けに行く男の子の物語です。その時、一緒に脚本を書いたりコラボした人たちに一つの質問を投げ掛けました」と一旦区切り、それは何かと伺っていると「クロサワさんならどうするだろうか?」と、頑張って覚えてきたという日本語でそう口にすると、集まったファンからは拍手喝采が送られた。続けて「努力はしたものの、その答えには失敗したと思いますが(笑)、クロサワさんの映画、クロサワ作品のインスピレーションなくしては、今回の映画を作ることはできませんでした」と、自身に多大なる影響を与えた黒澤明監督に敬意を表していたアンダーソン監督だった。

その後、アンダーソン監督は、会場に駆け付けたスタッフらを紹介しながら、村上虹郎、野村訓市、伊藤晃、池田エライザ、夏木マリら日本人キャストたちを自らステージに呼び込みと、さらに、本作のイラストを手掛けた大友克洋、自身にインスピレーションを与えた宮崎駿、高畑勲、庵野秀明、今村昌平、北野武、仲代達矢、三船敏郎、志村喬、香川京子らの名を挙げ感謝の言葉を口にしていた。

そんな中、アンダーソン監督とは友人関係にあり、本作では原案と【小林市長】の声を担当している野村は「3年手伝ってくれという言葉からここまで引っ張られてきて大変でしたが、今日皆さんに観てもらえることが楽しみですし、ホッとしています。この映画は視覚的なところに気が行きがちですが、ウェスは温かいストーリーテラーでもあるので物語の方も楽しんでください」と観客にメッセージを届けると、「友人として仕事を振ってもらえて感謝していますし、一人のファンとして、日本を舞台にしたウェスの作品を観ることができて嬉しく思います」と、友へ温かい笑顔を向けていた。

舞台挨拶にはその他、キャストのコーユー・ランキン(小林アタリ役)、ジェフ・ゴールドブラム(デューク役)が登壇した。

映画『犬ヶ島』(フォックス配給)

映画『犬ヶ島』(フォックス配給)は、近未来の日本を舞台に、「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちの冒険を描いたストップモーションアニメ。

監督・脚本:ウェス・アンダーソン 声の出演:コーユー・ランキン、リーヴ・シュレイバー、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソン、ティルダ・スウィントン、野村訓市、グレタ・ガーウィグ、オノ・ヨーコ、村上虹郎、池田エライザ、フランシス・マクドーマンド、野田洋次郎、渡辺謙、夏木マリ、ハーヴェイ・カイテル ほか

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。