コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第94回
女優の新川優愛が、6月10日にシネマート新宿で行われた、映画『めがみさま』の初日舞台挨拶に登壇した。
一つの地域にスポットを当てる企画「Mシネマ」の第2弾作品として、前回の愛知県に続いて、今回は埼玉県にスポットを当てているが、作品の中で新川は、セラピストの【ラブ】を演じている。
実は、メガホンを執った宮岡太郎監督とは、10代の頃に仕事をしていたという新川は「『お久しぶりですねー』って言って初日にお会いした時は、何だか恥ずかしいような不思議な気分になりました。自分も年齢を重ねて多少は成長したかな? と思うんですが、今回は監督として引っ張っていく力に感動しました」と、当時の助監督から今の監督に成長した“宮岡監督”を褒め称えるも、すぐさま「なんか上から目線になっちゃってごめんなさい(笑)」と謝罪していた新川だった。
そんな新川について、宮岡監督は「撮影が終わってみんな帰ろうかとなった時に、新川さんと廣瀬さん(【川崎拓海】役の廣瀬智紀)がパイプ椅子に座って、2人で向かい合ってしゃべってたんですけど、廣瀬さんが『俺、今の人生に悩んでます』って相談していて、もうラブじゃなくて、セラピスト・新川優愛みたいになってました(笑)」と、セラピストとしての能力を高く評価していた。
実際に“それ”を目の当たりにした廣瀬も「新川さんがまだ10代の頃にドラマで共演しているんですが、今とあまり印象が変わらず、すごく頼りになるというかお姉ちゃんみたいな存在ですね」と、7つ年下の新川を慕っていた。
また、ステージでは、[あなたのお悩みズバッと解決!?コーナー]が実施され、寄せられた『就職で悩んでるんですが、今の職業に悩みはありますか? 選んだ決め手は何ですか?』との質問に、新川は「この仕事は楽しいし、やり甲斐もあるし、毎日充実してるんですが、高校生の頃は全く違う仕事に就きたかったんですよね。そのために勉強もしてましたし」と回答。それが「介護系(リハビリ等)の仕事」であることを明かすと、今でもその仕事には興味を持っているそうで、「いつかは関わりたい」と打ち明けていた新川だった。
すると、その言葉を聞いた廣瀬は「何で新川さんがお姉ちゃんっぽいのか、今分かりました。介護されてる感じだったんですね(笑)」と、新川のセラピストとしての能力を再認識していたのだった。
一方、新川とともにダブル主演を務めた松井玲奈(【佐倉理華】役)は、「Mシネマ」の第1弾作品となった、2014年公開の『gift』で宮岡監督とは仕事をしており、「宮岡監督は人の気持ちを不安にさせる演出が得意」であることを明かすと、対する宮岡監督は「前回も思ったんですが、天性のモノを持っている女優さんで、今回も完璧に役に憑依してました。芝居が始まると空気が変わるというか、さらに凄い女優さんになってましたね」と、SKE48を卒業してから女優として着実にステップアップしていっている松井を絶賛していたのだった。
映画『めがみさま』(メデイアミックス・ジャパン配給)
映画『めがみさま』(メデイアミックス・ジャパン配給)は、人生に絶望した女性の日常が、自分と似たセラピストに傾倒していくことで変化していく様子を、松井玲奈と新川優愛のダブル主演で描いたドラマ。
監督:宮岡太郎 脚本:大月もも 出演:松井玲奈、新川優愛、廣瀬智紀、梅舟惟永、西沢仁太、西丸優子、片山萌美、鈴木ちなみ、筒井真理子、尾美としのり ほか