Nov 24, 2023 news

共同脚本・プロデュースの高崎卓馬が明かす制作の裏側 映画『PERFECT DAYS』

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名匠ヴィム・ヴェンダースが長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた、映画『PERFECT DAYS』。この度、『PERFECT DAYS』の特集を実施した雑誌『SWITCH』の発売(11/20)を記念してトークイベントが実施され、共同脚本・プロデュースの高崎卓馬により本作が生まれた背景や撮影秘話などが語られた。

映画制作のきっかけを聞かれた高崎は、「スタートは、柳井康治さんの THE TOKYO TOILETというプロジェクトです。新しいトイレたちの価値や、意味をみんなが考えるきっかけをどうつくれるか。という問いに巻き込まれた形ではじまりました。いろんなアイデアを話あい、そのうち僕が映像の人間でもあり、映像をつくろう、となって。」と語る。

ヴィム・ヴェンダース監督の起用については、「(たとえば)スピルバーグやタランティーノが東京のトイレを題材にした映画を作ったら、ワクワクしますよね。そのなかでヴェンダース監督の名前を出したら、お互いがヴェンダースのファンだということでもりあがって。自分にとってルーツのような存在だったんです。それで2人で手紙を書きました。断られても、『自分はヴェンダースに断られたことがある』って言えるっていいなってそのくらいの気持ちで。中身は何も決まっていませんでした。清掃員を主人公にしたい。役所広司さんにやってもらいたい。そのくらいで。」と明かす。

なぜ監督が受けてくれたのか?という問いに高崎は「まず彼が、日本、東京が大好きっていうのはベースにありますね。約11年間、自分のホームタウンと言っている東京に来ていなかった。 いつか、チャンスがあれば行きたいってずっと思っていたようなんです。

そして、バジェットの大きな作品はどうしても口を出す人が多いというストレスがある。とはいえバジェットが小さい作品だと物理的な制約にいつも悩む。それを交互に行き来しているから映画を作り続けていられるかもしれないというヴェンダースのかつてのコメントを思い出して、今回は、自由とバジェットのあるあなたがずっと願っていた環境になるかもしれないという話と、ドキュンメントとフィクションを行き来してきたひとにしかできないものを作りたいと言うことを伝えました。スケジュールとか物理的な理由で断るかもしれないけれども、彼にとっても良いオファーだったのかなと思います。」と明かした。

そんなスタートを切った本作も、2022年の5月に「TTTプロジェクト」として発足した当企画の記者会見では、また短編映画のイメージしかなかった。「彼(ヴェンダース監督)の作品で、撮り始めたら映画になったという作品はたくさんあった」というが、本作も監督が来日し、シナハン、ロケハンを重ね、トイレ清掃員の平山という男のイメージを少しずつ作り上げていく過程で、監督から「短編にするにはもったいない。映画にしよう」という話が出たという。

「心の底から嬉しかった。でもそんな顔はできないので冷静を装っていたら、『俺は映画を作ったことがあるから心配するな。』と言われました。柳井さんにすぐメールしましたね。夢の電車に乗り合わせた気持ちです。」と、当時を振り返り、素直な気持ちで喜びを語った。

映画『PERFECT DAYS』は、2023年12月22日(金)より全国ロードショー。

作品情報
映画『PERFECT DAYS』

東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山は、静かに淡々とした日々を生きていた。同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。木々がつくる木漏れ日に目を細めた。そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。それが男の過去を小さく揺らした。

監督:ヴィム・ヴェンダース

出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和

配給:ビターズ・エンド

© 2023 MASTER MIND Ltd.

2023年12月22日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

公式サイト perfectdays-movie