フランス・カンヌで開催された第79回カンヌ国際映画祭で、映画『急に具合が悪くなる』主演のヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒が最優秀女優賞に輝いた。
(アイキャッチ画像:Andreas Rentz Getty Images Entertainment :ゲッティイメージズ提供)
今年は、コンペティション部門に日本映画が3作品(本作の他に『箱の中の羊』『ナギダイアリー』)同時に出品を果たすという、25年振りの快挙を成し遂げており、映画祭の開催前から話題となっていた。
本作の中心人物は、介護施設の施設長マリー=ルー(ヴィルジニー・エフィラ)と、舞台演出家でありステージⅣのがん患者である真理(岡本多緒)。マリー=ルーは⼊居者を⼈間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは日本人の演出家・真理に出会い、同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる‥‥。
ワールドプレミアとなった公式上映後には「見事! 圧倒的な奇跡。(Variety)」「深く心を揺さぶる傑作。(The Hollywood Reporter)」「優しさと好奇心を讃える優雅な賛歌。強烈に胸を打つ。ヴィルジニー・エフィラと岡本多緒の演技が見事だ。(Screen Daily)」「濱口竜介作品の最高到達点。映画史において、ここまで徹底的に「希望」を信じさせる作品が他にあっただろうか。 (IndieWire)」など海外メディアの絶賛レビューが相次ぎ、各国批評家たちの熱い視線が注がれていた。
このたび受賞した最優秀女優賞は、コンペティション部門に出品された全22作のうち、もっとも優れた女優に贈られる賞で、本作主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒がW受賞を果たした。日本人での同賞受賞は史上初の快挙となる。

【コメント全文】
▼ヴィルジニー・エフィラ
審査員の皆様、ティエリー・フレモーさん、ありがとうございます。そして、感謝と敬意、そして愛をすべて、濱口竜介さんに捧げます。映画の終わりに、私も涙を流したことを覚えています。私はこう言いました。「一瞬一瞬が喜びであり、光栄でした」と。この場所に立った多くの方々が、これが「チームの力」によるものだと語っていましたが、まさに私たち全員も同じです。ここにいらっしゃる音響技師のピエールさんをはじめ、撮影中、常に「撮影のあらゆる瞬間に、私たちはこれを体験してきた」と私に言い続けてくれたスタッフの方々のことを思い出します。おそらく、私が常に「一体感」を最も強く感じ、竜介が私たちに「冒険」をさせてくれた時間だったのかもしれません。いや、「冒険」という言葉では小さすぎます。一生忘れられない、いや、永遠に心に刻まれる人生経験でした。この作品が成功している点、私にとって並外れた勇気を感じるのは、相反する二つのことを同時に考えられるところです。つまり、状況がいかに絶望的でも、それを変えることを諦めないこと。濱口竜介監督は常にそこを見つめていました。彼は私たちの最高の部分を見つめてくれて、その部分がより一層存在感を増していくんです。本当にありがとうございます。
▼岡本多緒
どうもありがとうございます。とても感動しています。皆さんが選んでくださったおかげで、私のような平凡な日本人女優が、今日こうしてここに立っていられます。私が今日ここにいるのは、本当に素晴らしい監督のおかげです。そして、監督の脚本、演出、そして支えがあったからこそです。そして、ヴィルジニーがすでにすべてを語ってくれましたが、私たち二人だけでなく、スタッフ全員、そして出演者全員に対する愛と敬意がありました。毎日、撮影現場でその愛を感じることができたのは素晴らしい経験であり、この道を歩み続ける勇気を与えてくれました。私たちふたりを選んでくださったことに、心から感謝します。本当に信じられないことです。こんな映画はそう多くありません。私たちのように出会うふたりの女性を描いた映画は、ほとんどないのです。まるで夢さえも超えています。本当にありがとうございます。私の期待をはるかに超えるものでした。心から感謝します。



▼濱口竜介(監督)
本当に素晴らしいです。ヴィルジニー・エフィラさんと岡本多緒さん、このおふたりこその映画だと思います。原作の宮野真生子さんと磯野真穂さんの魂を引き継ぐような形で、おふたりが演じてくださった。それをカンヌ国際映画祭が評価してくれたのだと思います。本当に嬉しいです!
▼長塚京三
ヴィルジニー、多緒さん、やりましたね。素晴らしい! 世界最高峰の受賞。ご一緒できた私も、誇らしく、幸せな気分ではち切れそうです。高らかに乾杯しましょう!


▼黒崎煌代
女優賞のご受賞、誠におめでとうございます! 受賞の知らせを聞き、感動するとともに、心から納得いたしました。お二人のお芝居は、本当にこれまで見たことのない表現で、日本語とフランス語、異なる言語の中で心を通わせながら芝居をされている姿に、撮影中も、そして完成した作品を観た時も、何度も胸を打たれました。言葉を超えて感情が伝わってくるお二人のお芝居に、俳優としてたくさんの刺激をいただきました。改めまして、この度のご受賞を心よりお祝い申し上げます。
▼磯野真穂(原作)
原作をお守りのようにしていたとおっしゃってくださった岡本多緒さん。フランス語に訳された原作を読み、さらには平仮名まで勉強をして演じてくれたヴェルジニー・エフィラさん。テキストを「生きる」お二人の演技が、原作の書簡の先にありえたかもしれない世界を垣間見せてくれました。お二人のさらなるご活躍を心から祈っています。静かで真摯で、華やかな演技をありがとう。

映画『急に具合が悪くなる』は、2026年6月19日(金)より全国公開。

パリ郊外の介護施設「⾃由の庭」の施設長であるマリー=ルー・フォンテーヌは⼊居者を⼈間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、マリー=ルーは森崎真理という日本人の演出家に出会う。がん闘病中の真理が演出するのは、自閉スペクトラム症の孫・智樹と行動を共にする俳優・清宮吾朗の一人芝居。真理の描く演劇に勇気をもらったマリー=ルー。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、二人の交流が始まる。しかし、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、二人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる。
監督:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
主演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
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2026年6月19日(金) 全国ロードショー
公式サイト soudain