【コメント全文】
▼松村北斗
お話をいただいて、まず「副音声」という馴染みのある言葉でありながら、どのような内容なのか掴めない原作タイトルが非常に印象的でした。原作を拝読して、架空の物語でありながら「世界のどこかで本当にあったのではないか」と思えるほど、リアリティがあり、登場人物たちが懸命に生きる温かい世界観そのものに強く惹かれました。声と視界だけで繋がるふたりの微妙なすれ違いや、もどかしい距離感は、深く心を動かされると思います。物語の結末を迎えたあとも、ふたりの未来や周りの人たちをずっと応援したくなるような作品になっていますので、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。
▼堀田真由
初めて脚本を読ませていただいたとき、一筋縄ではいかない人と人との繋がりや、その中に宿る温もりを描いた優しい物語に心を打たれました。これまでラブストーリーにはどこか気恥ずかしさを感じていましたが、この物語にはそんな気持ちを越えて飛び込んでみたいと思わせてくれる力がありました。望海と向き合う日々の中で、目には見えないものを感じ、信じることの豊かさに触れながら、一つひとつのシーンを大切に紡ぎました。生きていれば、前を向くことさえ難しい日がどうしてもあると思います。そんなとき、誰かの何気ない言葉や優しさに救われることがあります。映画にも、そんな力があると信じています。この作品が、観てくださる方の心に寄り添い、明日を生きる小さな力となれば幸いです。

▼大林利江子(原作・脚本)
うまくいかないとき、自分で自分の世界に呪いをかけてしまうことがあります。それでも誰かとつながることで、世界にもう一度色が差していく。そんな思いを込めた作品です。すばらしいスタッフ、キャストの皆様のお力によって、この作品が映画化されることを大変嬉しく思い、心より感謝しております。物語を書いたのは随分前ですが、AIが大きく進歩した今だからこそ、伝わるものもあるように思います。函館の風景の中を歩くように、映画の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです。
▼山岸聖太(監督)
監督を務めました山岸聖太です。ネットに触れれば見たくないものまで見えてしまい、どんなことも可視化されてしまう昨今です。だからこそ、視えないことが心を惹きつける。視えないから、より想う。そこから勇気を出して踏み出す一歩がお互いを高め合う。この二人の物語は、今の時代だからこそ描く意味があるのかもしれません。函館の儚い空気と共に、陽介と望海の行末を見守って頂けたら幸いです。そして、この作品で描かれる「副音声制度」が現実になることを心から願っています。
▼貴島彩理(企画プロデュース)
今作は、助けてと素直に言えない頑張り屋さんたちが、助けてと“誰かに頼る強さ”を見つける物語です。現代人は力を抜くのがへたくそで、自分を追い詰めてしまいがちです。人生を失敗したと感じたり、泣きたいのに涙の流し方を忘れてしまう人もいるはず。でも深呼吸をして周りを見渡せば、味方でいてくれる誰かの存在に気付けるかもしれません。肩の力を抜いて眺めたその場所は、意外にも愛に溢れているのではないでしょうか。この映画が、まだ見ぬ“自分の素敵さ”に、気づくきっかけになれば嬉しいです。

司法試験に落ち続け、引きこもり生活を送るフリーターの陽介は、ある日、厚生労働省の「副音声」システムのアルバイトに出会う。それは、リモートで繋がった目の見えない依頼人の前に広がる“情景”を、機械的に音声で伝えるだけの簡単な仕事。陽介のパソコンに映し出されるのは、函館で暮らす依頼人・望海の視界。彼女もまた、生きる希望を見失ったまま、日々を過ごしていた。函館と東京。繋がっているのは、“僕の声”と“彼女の視界”だけ。そこに一切の感情は必要ない、はずだった。“依頼人のプライバシーには一切立ち入らず、依頼人の目に徹すること”それが副音声のルール、だけど言わずにはいられない。「ねぇ、君は誰ですか? 僕はどうしても、君に会いたい」顔も名前も知らない、出会うはずのない2人。彼女の“視界“を通じて、モノクロだった僕の世界は、やがて鮮やかに色づき始める
監督:山岸聖太
原作:大林利江子「副音声 まだ見ぬ君へ」(河出文庫)
出演:松村北斗、堀田真由
配給:松竹
©2027「まだ見ぬ君へ」製作委員会
2027年4月2日(金) 全国公開
公式サイト madaminukimie