- 島津:
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家の方針でテレビをあまり見せてもらえなかったので、アニメも少ししか見ていませんでした。オーディションの時に台詞を渡されても、どういう風に演技すれば良いのかわからなくて(笑)。それで数少ないアニメの記憶の中から、『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年)のヒロイン・白鳥のジュンを引っ張り出してきて、そのカッコいい!って感じたことを思い出しながら演じました。
- 古川:
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ジュン役は杉山佳寿子さん(ほか、『アルプスの少女ハイジ』のハイジ役などでも有名)だっけ。
- 島津:
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そうです。だから『うる星やつら』で初めてお逢いした時は、嬉しかったです!
- 平野:
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声優初体験が、レギュラーのヒロインってのは大変だったんじゃない? だって、当時はマイクの使い方から分からなかったんでしょう?
- 島津:
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そうなんです。だから、先輩方にはご迷惑をお掛けしました。でも、皆さん本当に親切でした。八奈見乗児さん(セコビッチ役)、たてかべ和也さん(ドワルスキー役)……私、たてかべさんにマイクの前のどの辺りに立つか、まで教えていただきました。(笑) 特に演技面では小原乃梨子さん(アターシャ役)にいろいろご指導いただきました。
- 平野:
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当時はそうしたベテランが新人をきちんと指導してくれる時代だったわよね。『うる星やつら』でも、上手にやると、カコさん(杉山佳寿子さんの愛称)が、「今の良かったわよ」って誉めてくださったり。そういう時は「演技部オッケー」って、勝手に自分たちでOKだしちゃったりね(笑)。そういう空気は、今の収録ではなくなっちゃいましたね。
- 古川:
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そうして声優デビューした後、島津さんが「声優」としてやっていこうと決めたのはいつ頃なの?
- 島津:
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声優の仕事が増えていく中で、ドラマの仕事との調整が難しくなってしまいました。アニメはきっちりスケジュールが決まっているのに、ドラマは天候のせいで急に予定が変わっちゃったりするでしょ。それでアニメの方のマネージャーと、ドラマの方のマネージャーとでトラブルになっちゃったり。これはどっちかに絞らないといけないな、って。
- 古川:
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僕や文ちゃんも、そういう時期がありました。
- 平野:
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そこで「声優」を選んだのはどうして?
- 島津:
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ドラマの方は、私じゃなくても大丈夫だけど、声の仕事の方は私にって声をかけてくださる方がたくさんいらしたからですね。『うる星やつら』が始まってしばらくしたころだったと思うんですが、それで島津冴子は「声優」としてやっていこうと決めたんです。
構成・文 / 山下達也
撮影 / 田里弐裸衣
島津冴子(しまずさえこ)
9月8日神奈川県生まれ。声優デビューは1980年、「タイムパトロール隊 オタスケマン」(オタスケマン2号 ナナ)その後、「うる星やつら」(三宅しのぶ)「さすがの猿飛」(霧賀魔子)「魔法の天使 クリィミーマミ」(綾瀬めぐみ)「機動戦士Ζガンダム」(フォウ・ムラサメ)「ダーティペア」(ユリ)「らんま1/2」(九能小太刀)「美味しんぼ」(二木まり子)など、美少女キャラを総なめに。
人形劇「のびのびノンちゃん」(うりちゃん)やゲーム「サクラ大戦3」(グリシーヌ・ブルーメール)、ラジオ「アニメトピア」「おはなしの旅」、ナレーション「平成教育委員会」「ダウトを探せ!」「たけしの誰でもピカソ」 など幅広いジャンルで活躍。
古川登志夫(ふるかわとしお)
7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。
平野文(ひらのふみ)
1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。
~クリスマスは「魔法の天使 クリィミーマミ」~
日時:12/23 17:00~
出演:島津冴子、太田貴子、水島裕、岩永哲哉、笠原留美、岡本麻弥
【詳細案内】島津冴子オフィシャルブログ
http://saeko.officialblog.jp/archives/koemonogatari2017.html