May 31, 2023 interview

「サンクチュアリ -聖域-」本当の裏側と真のエンディング 一ノ瀬ワタル×ピエール瀧 インタビュー

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リアルすぎる相撲界の裏側

ーー 断髪式もそうですが、本当にリアルでしたね。もう誰が役者さんで誰が力士さんなんだろう?というふうに観ていました。

一ノ瀬 キャスティングは、俺も”すごいな”って思っていました。大相撲の場面がメインとなるので、お芝居をしないでいいような、引退した力士や元相撲関係者を多くキャスティングしていましたね。

ーー 猿将部屋も国技館もセットなんですよね? あれもリアルでしたね。

一ノ瀬 撮影がないときも毎日のように猿将部屋の土俵で稽古をしていたから、”俺らの部室に今日は、カメラが入ってる”っていう感覚でしたね。

ピエール 国技館のシーンでは、僕が猿桜に「てめぇこの野郎」とか言っている後で、控えている呼び出しの子たちの、”親方に口出しちゃいけないけれど‥‥”みたいな、仕草だったりとか、そういうところがすごくよくできている。だからみんな、本当の感じに見えてきちゃうんだと思います。

ーー 撮影現場の雰囲気やエピソードがあれば教えてください。

一ノ瀬 自分に関しては、役作りする上で、誰ともしゃべらず孤独でいた方がいいんじゃないかと考えていたので、スタッフともキャストとも、撮影中は極力しゃべらないように、ずっと独りで集中していました。

ーー ピエールさんは、部屋の人々との交流はいかがでしたか?

ピエール 猿将部屋の力士の連中とは、割とまぁ現場に入ってからも話したり、ちょっかい出したりしてましたね。

一ノ瀬 気持ちのいい人たちでしたよね、本当に。面白い人たち。

ピエール 芝居の話っていうよりかは相撲経験者の方たちが何人かいるので、喫煙所で彼らに相撲界の裏話を聞いたりして(笑)。「まじか、すげぇな!」って話をてんこ盛りで聞いたりとか、非常に面白かったですね。

それがまた、まわし姿や浴衣を着ているからなんですかね、裸に近い状態だと変な緊張感がなくなるんですよね。人との距離が縮まるといったら変ですけど。それも興味深い体験でしたね。

ーー 本編中で相撲界の裏側っぽい内容が描かれていたじゃないですか。そのドラマを撮っているときに、裏話を聞けるもの興味深いですね。

ピエール 裏の話はもう言えないですよ(笑)。

一ノ瀬 いやー言えないっすね(笑)。

ピエール もう面白すぎて。

作品ファーストであるためにできること

ーー 他の撮影現場と比べてNetflix作品ならでは、と感じた部分はありましたか?

一ノ瀬 撮影していないときでも毎日相撲稽古ができたり、筋トレができる場所が用意され、個々に合わせてきちんとサポートしてもらえるというすごく贅沢な環境は、もしかしたらNetflixだったからかもしれないですね。

ーー 肉体がどんどん変わっていきますよね。猿桜がまげを結ぶころには、すっかり肉体が仕上がっていて、すごいなって思っていました。

一ノ瀬 ありがとうございます。日々の撮影が終わったら「じゃぁ一ノ瀬さん、今からトレーニングお願いします」という感じで、ちゃんとトレーニングしてましたから!

ーー なるほど。ピエールさんは皆さんのトレーニングを見たりしたんですか?

ピエール いや‥‥僕、本当の親方じゃないんで(笑)。本物の親方じゃない奴が、トレーニングにいても邪魔になるだけなんで。

まぁでも、Netflix作品と他の現場で違うという点では、リスペクト講習というものがあって、スタッフも演者もいろんな人たちを含めての考え方というか、Netflix側が我々はこう考えていますよ、皆さんもそういうことに賛同してくださいというような講習を受けるんです。他にも1日の撮影時間に限度があって、早朝から深夜てっぺん過ぎまでやらないっていうのもあります。

一ノ瀬 そうですね。

ピエール リスペクト講習にしろ、一ノ瀬くんたちがやっていたトレーニングにちゃんとトレーナーが付いていたり、アクションをやる撮影現場に医療関係者がちゃんといたりする。そういったことを考えると他の現場と1番違うなと思うのは、作品ファーストで物事が進んでいく感じですかね。

Netflix作品の現場で顕著に感じるのは、作品の中身を濃くする、そのためにはどうしたらいいのか。そのためにはちゃんと休むところは休むべき。こういうところを貫いているところが1番違う。他の現場もやっているんでしょうけど、それがすごく前面に出てきて、肌感覚として感じられるのが、Netflixの現場ならではですかね。

一ノ瀬 稽古や撮影が終わった後、メディカルトレーナーがマッサージやストレッチを毎日やってくれましたから。効率だけでなく安全面もきちんと考えてくれてましたね。