Jul 22, 2023 interview

永野芽郁×工藤阿須加×中川大志インタビュー 悪人なき復讐劇に秘めた想い「御手洗家、炎上する」

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共感から広げる役作り

ーー本作で、どんなことを意識されて役を演じましたか?

中川 真ニは抜けてる奴というか、平和ボケしたような感じなんですけど、ものすごくピュアで、彼も彼なりに家庭のコンプレックスを抱えている。

真ニが出てくると、お客さんもほっとできるような存在で、彼の放っている陽のオーラというか、そういう雰囲気を出そうとは、監督とも話していました。

永野 私はこの作品には、本当の悪人がいないなって思って演じました。杏子の復讐劇であるけれど、すべてが悪に見えすぎないようにはしないといけないっていうのを意識して、私も監督と話しながら作っていった気がします。

ーー工藤さんのファーストカットは、誰だかわからないほどでした。ぜひ役作りの秘話をお伺いしたいです。

工藤 役作りに対しては、過去の苦い記憶や出来事をうまく引き出しながら、少しダークな部分を強めていきましたけど、落ちすぎないようには努力しましたね。本当に落ちすぎちゃうと止まらなくなりそうだったので。芽郁ちゃんも言ったように、誰も完全な悪人がいないなかで、僕が演じた希一の抱えている心情をあえて見せないようにしました。

でも、やっぱり全体的な雰囲気に助けられた部分は大きいかな。現場のセットもそうですし、ちょっとした見せ方やカメラワークで、雰囲気を作ってもらいました。何よりも現場の皆さんのおかげで、希一っていう人間でいられたのかなって思いますね。

ーーみなさん、演じられたキャラクターと自分との共通点、共感できる点、できない点など教えてください。

永野 似ているところを探し出したところもあるし、どこかで役に共感しながらやりたいっていうのはありました。自分じゃなく誰かのために何かをしてあげるっていう気持ちは理解できます。私自身、誰かを救ったり、喜ばせたりするきっかけになったらいいなと思って日々過ごしています。その想いにはすごく共感はしたけれど、杏子ほどの信念の強さはないなと思います。

ーー13年疑惑を抱えて、復讐計画立てますからね。

永野 でも、その復讐も苦しめてやろうというものではなく、ただ謝ってほしいという気持ちだけで行動していくんですよ。自分だったら、「それだけの気持ちであそこまでできるかな?」とは思うから、似てないというか、そうなりたくてもなりきれないかなと思いますね。

ーー中川さんは、いかがですか?

中川 どんな役を演じる場合でも、自分と通ずる部分から広げていきます。まったく同じシチュエーションということはあまりないので、台本上で起きていることが、「自分にとって、どれ位の出来事だろう?」みたいな考えから入るんです。

真ニは周りからの求められ方だったり、母による理想の息子像であったり、そういう見られ方の中で葛藤を持ちながら生きていく男性です。僕らの仕事もちょっと似たようなところがあって、周りが持っている先入観と「本当はこうなんだけど‥‥」みたいなイメージとの葛藤が起きる瞬間もあります。そんなことをイメージしながらやっていましたね。

でもさっき芽郁ちゃんが言ったみたいに、この物語で起きていることの度合いは、自分たちの人生ではあまり経験し得ない大きさのことが起きているので、それをイメージしながらやるのは、結構難しかったですね。

ーー工藤さんはどうでしたか?

工藤 希一の心情で全く理解できない部分はなかったですね。誰しも辛い過去はあると思いますし、傷ついたことも沢山あって、周りの目を気にするな、なんて言われても気にしてしまうことも多いと思います。

でも、杏子と対峙するシーン、あの撮影は心が苦しかったです。

ーー強く感情をぶつけあうあのシーンは、おふたりとも迫力がすごかったですね。第3話は見どころのひとつですよね。

工藤 女性に手をあげちゃダメですよ。

中川 でも緊迫感のあるかっこいいシーンでしたけどね。

工藤 現場で芽郁ちゃんに怪我なんてさせられないと思いながら‥‥。

永野 (笑)。

工藤 具体的な事は言えないので、この辺で(笑)。