Feb 24, 2017 interview

水川あさみ主演であの『東京カレンダー』の炎上リア充女子を映像化!タナダユキ監督に制作の裏側を聞いた

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──実際、許可はどうやって取ったのですか。

制作部スタッフがとにかく頑張ってくれました。時間が潤沢にあるわけではないですから、限られた時間のなかでの許可取りは本当に大変だったと思います。空也さんには最初、お断りされたのですが、銀座には良いお店が沢山あっても、やはり空也さんに変わるお店なんてありませんから、スタッフに粘りに粘ってもらって、定休日に外観だけ……というところから、暖簾も出していただけることになり、さらに、定休日に入り口の出入りまでさせていただける……というところまでこぎつけることができたんです。

──三軒茶屋、恵比寿、銀座、豊洲、代々木上原……と各話で街が変わるから大変ですよね。

タイトルからして『東京女子図鑑』ですから、女子をたくさん出すことと、街をちゃんと撮ることをマストにしたものの、撮影中、まだ撮影場所が決まっていないことも多く、撮休もロケハンしていました。できるだけその街で撮るように心がけたので、その分苦しみました。普段の都内での撮影だと、恵比寿だの銀座だのはまず避けますから(笑)。あと、街が変わることに合わせて年齢も上がり服装も変わっていきますので、衣裳も尋常じゃない量を必要としました。トータルで何百着とあったんじゃないでしょうか。

──綾が20代から40代へ成長していく20年間のお話なので、時代に合わせてiMacが出てきたり、ケータイも昔のデザインだったり。集めるのが大変そうと思って観ました。

美術スタッフの頑張りです。すべての時代を完全に再現することは、CGを大幅に使わない限り不可能なので、ある程度の記号的なものだけ用意して、あとはあえて変えていません。……それで思い出しましたが、最初のプロットの時、黒沢さんのアイデアとして、時代はすべて“現代”で、いろんな街に住むいろんな“綾”、捉えようによってはどこにでもいるかもしれない“綾”を描くオムニバス形式の方向性で進めようとしたことがあったんです。それも非常に惹かれました。けれど、後半に再会する男性がいたりして、綾は変わるけど男性も変えるのかとか、観ている人がちょっと混乱するのではないかという懸念もあり、やっぱりひとりの人物の20年の話で通したほうが、主人公にイラッとするにしても共感するにしても、観ているほうの感情が動きやすいであろうと思い直しました。結果的にうまいこと面白い脚本が出来たと思います。

──だからこそリアリティーがありました。小説は、基本的には飲食店の宣伝で、キャラも記号的ですが、ドラマでは、こういう人がいるかもしれないと思えます。

綾役の水川あさみさんは、昔のケータイを使うシーンで、ケータイを振ってくれるというような細かいところに気を使ってくれて、それやった!って盛り上がりましたよ。

──水川さんを選ばれたわけは。

これまで一緒にお仕事したことがなかったのですが、水川さんだったら、若い頃も歳をとってからも全部やれるのではないかと思ってオファーしました。実際、彼女で本当に良かったです。綾のダメな部分も客観的に捉え、その上でどう演じるかの加減が抜群で、センスの塊のような女優さんでした。綾がどこか憎めない人物になったのは水川さんのおかげです。走るシーンでは、走りやすいように自前の靴を用意して臨んでくれるなど協力的でしたし、GUCCIに撮影協力をもらったとき、プロデューサーの頑張りもありつつ、決定打となったのが、彼女がイベントでGUCCIの服を着たことがあったというご縁から快諾いただけたので、助かりました。GUCCIが決まったのはウルトラ級なことでしたから。撮影では、午前中に代々木上原時代を撮って午後は恵比寿時代、夜は銀座篇など、1日の中でも目まぐるしかったのですが、最初に上がりを見た編集部から「水川さんの顔が場所場所で違う顔になっててすごい!」と興奮気味に連絡があったりして。難しいことを全く大変ぶらずにサラリとやってのける、尊敬する女優です。あと、撮影中に出会った動物たちが異様な早さで水川さんに懐いてました(笑)。