Feb 24, 2017 interview

水川あさみ主演であの『東京カレンダー』の炎上リア充女子を映像化!タナダユキ監督に制作の裏側を聞いた

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「恵比寿のジョエル・ロブションに30歳になるまでにデートで行けたらイイ女」
こんな目標を掲げて生きる女の子がいる。

地方から東京に出てきた主人公・綾が、住む街と恋と仕事をどんどんレベルアップしながら人生に必要なものをコンプリートしていく半生記を描いた小説『東京女子図鑑』が、Amazonオリジナル作品として連続ドラマ化され、2016年12月より、Amazon プライム・ビデオにて見放題で独占配信がされている。
原作は、媒体資料によると、“都心の高所得者層や感度の高い女性を中心としたユーザー向けに、体験型のリアルな東京の情報をお届けしている”『東京カレンダー』WEBにて、2015年9月から11月にかけて連載されていた。
そして、綾のあまりにもリア充な様にネットユーザーが過剰に反応、炎上に近い形で大ヒット。

このイライラエンタメを映像化したのは、『ロマンス』『お父さんと伊藤さん』などを手掛けたタナダユキ監督。これまで様々な女性の生き方を描いてきたタナダ監督は、綾という女性の欲望を、地上波ドラマではできないエッヂの利いたタッチで描き、炎上物件だった原作を鮮やかに補完してみせた。実のところ、綾という女は現代の東京を象徴する女なのか、タナダ監督に直接伺った。

 

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原作には、なんだかもやもやとざわつくものを感じた

 

──原作をご存知でしたか?

原作に関するブログをたまたま読んで、ざわついているなと感じていました(笑)。その記事は、『東京女子図鑑』を完全に批判しきれているわけでもなく、かといってものすごく賛同しているわけでもなく、ただただ気持ちをかき乱されている印象を受けたんですね。その頃ちょっとバタバタしていたので、時間ができたらその原作を読もうと思っていたら、プロデューサーから『東京女子図鑑』って知っています? と映像化の話をいただいて。あれかあ! と思って読んだら、ざわつくわけがよくわかりました(笑)。おじさんが女性視点で書いているんじゃないか? という説もありましたよね。そんなこともあって、綾の生き方や考え方にところどころ違和感を覚え、批判したくなるのもわかるなと。突っ込みどころもあって、もやもやする内容ですが(笑)でもざわつくということは、ドラマとして面白くなる要素をしっかり持っているんじゃないかと。

──もやもやする作品を映像化するにあたってのモチベーションはどこにあったのでしょうか。

黒沢久子さんの脚本が面白かったんです。プロデューサーからオファーがあったとき、脚本は黒沢さんでというお話で、彼女とは『お父さんと伊藤さん』や『四十九日のレシピ』など何作にも渡って組んでいるので安心してプロットを書いてもらいました。その出来がすごく良かった。原作のひとり語りによる余白の埋め方も絶妙でしたし、主人公のイラッとする行動や考え方についても落とし所をうまくつくってくれていました。ただ、監督としては、これをどこまで実現できるのかっていうところが非常に悩ましくて。なにしろ、ジョエル・ロブションや空也の最中、GUCCIなど実在の場所や商品がたくさん出てきますので、どれだけ許可がとれるかとクランクインがこれほどおそろしい経験ははじめてでした(笑)。