Mar 14, 2017 interview

東京五輪イヤーを先取りした超ポップな冒険アニメ『ひるね姫』 神山健治監督に多大な影響を与えた人物と不思議な夢とは……?

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『東のエデン』で提示された世代間格差の回答が見つかった!?

 

──神山作品はいつも緻密なリアリティーを感じさせますが、地方都市で暮らす女子高生が主人公ということで苦心された点は?

普段、東京で暮らして仕事をしていると、東京で起きていることが日本全体で起きていることだと思いがちなんですが、そうでもないんですよね。どちらかというと地方で起きていることのほうが、日本全体で起きていることだと思うんです。地方で暮らしている人のほうが高齢化社会になったことをより実感するし、景気が悪いこともよく分かる。それもあって、今回は地方から物語をスタートさせたんです。

──劇中、ココネが幼い頃から見ていた夢と父親であるモモタローが思い描いていた夢とが次第にリンクしていく展開がとてもドラマチックです。若者世代だけでなく、父親世代にも観てほしい内容ですね。

若い世代はもちろん、いろんな世代に観てほしいですね。自分が高校生だった頃は、自分の両親や他の大人たちにストーリーがあるとは思っていなかったわけです。親は最初から親であって、自分の父や母には若い頃にどんなストーリーがあったかなんて興味がなかった。だけど自分が親になってみると、今度は自分自身の子供の頃の気持ちも忘れがちになってしまう。「俺の若い頃は……」と語ってみても、今の若い子とは状況が異なります。そんな世代間の齟齬をなくしてお互いにもっと分かり合えるようになれば、世代間格差や親子の断絶といった問題もクリアできるんじゃないかと考えるようになりましたね。

 

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──『東のエデン』ではバブルを経験して上がりを決めこもうとする上の世代とバブル崩壊後の不景気な時代しか知らないニート世代の世代間抗争が描かれましたが、『ひるね姫』は過激な抗争劇からやんわりとした融和の物語へと変わったんですね。

結局、ひとりの作り手の持ちえているテーマって、それほど多くはないんです。なので同じテーマを、手を替え品を替えて作品にしているところがありますね。

 

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