Mar 14, 2017 interview

東京五輪イヤーを先取りした超ポップな冒険アニメ『ひるね姫』 神山健治監督に多大な影響を与えた人物と不思議な夢とは……?

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夢と現実とのボーダーがなかった幸せな記憶

 

──我が子に父親が寝物語を聞かせる。本作の主人公・ココネと父親・モモタローの関係は、神山監督父子の記憶が投影されていたんですね。

娘も小さい頃は僕が創作した物語を喜んで聞いていましたし、僕自身も子どもの頃はテレビでアニメや特撮ドラマを見ながら、物語と現実を混同していたんです。特撮ドラマに出てくる怪獣は着ぐるみで、中には人が入っていることは分かっていたのですが、それでも僕の部屋に怪獣が現われたりすることをよく夢想していました。子どもの頃は、夢と現実がボーダーレスになる曖昧な時間があったんです。そんな体験を思い出して、夢の世界が現実の世界を侵蝕していくという仕掛けはどうかと考えたんです。

──これまでの神山監督の作品は多発テロやサイバー事件が頻繁に起きてきましたが、そういった大事件が起きない世界を描いてみようと思ったわけですね。

今回はこれまでの自分の作品とは異なるものにしようということが、もうひとつのテーマとして最初からありました。今の社会を見渡すと、どうしても3.11以降の先行きの見えなさ、一向に改善されない景気の悪さ、高齢化社会、世代間の断絶……といった問題が目に入ってくるわけです。以前の日本はずっと平和で幸せな日々が続いていたのに、今では息苦しさを覚える社会になってしまった。じゃあ、そんな中で何も起きないことこそがファンタジーだと考え、平凡な女の子のちょっとした冒険から物語をスタートさせました。

 

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──主人公のココネは、神山監督の娘さんのイメージが入っているんでしょうか?

あまり似てないとは思うけど……。でも、無意識にどこか入っているのかもしれませんね(笑)。娘と『ひるね姫』の内容について話し合ったか? いえ、あまり話さない父娘なんで。劇中のモモタローとココネと同じで、メールで会話してます。多分、『ひるね姫』が公開されたら、「あ〜、ここ1〜2年忙しそうにしてたのはこれだったのか」と思うんじゃないですか。今までの僕の作品は子どもには難しい内容でしたが、今回の『ひるね姫』は娘も観てくれると思います。まぁ、でもお互い恥ずかしいから一緒に観ることはないでしょうけど(苦笑)。

 

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