世界規模の大人気漫画『鋼の錬金術師』を実写化した人気シリーズ最新作『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』。兄エドワード・エルリック(山田涼介)と、魂を鎧に定着させた弟アルフォンス・エルリック(水石亜飛夢)が歩んできた長い旅路が遂に終局を迎える。約5年ぶりとなる続編にもかかわらず、たちまち実写ハガレンの世界へ観客を飛び込ませるハイテンション&圧倒的なVFXがもたらす映像体験。
公開中の「復讐者スカー」では、国家錬金術師の連続殺人の犯人“傷の男(スカー)”をめぐる国家がらみの秘密が。「最後の錬成」では、国を根幹から揺るがす陰謀を阻止するために立ち上がるエドとアルの兄弟、そしてマスタングたち。
実写版ハガレンで、最も難しい役のひとつと言われてきたのが、ホムンクルス(人造人間)のエンヴィー。前作でも予想外の再現度が注目をあつめたが、今回も要所要所で強烈な印象を残してくれる。エンヴィーを演じた本郷奏多さんに、約5年ぶりの続編への意気込み、特異なキャラクターをどう演じたのか、そしてVFXが多く使用される作品のなかで演じることの魅力をうかがいました。
前作で作ったエンヴィーのイメージのまま演じた
―― 約5年ぶりの続編となりましたが、オファーを受けたときは、どう感じましたか?
本郷 まさか、続編があるとは正直思っていなかったんです。1作目を撮っていたときに、作れたら良いねとは言ってたんですが、少し時間が空いてから続編が決まって、なおかつ1作目に出ていたキャストが誰一人変わることなく続きを作れたのが、めちゃめちゃ嬉しかったです。
―― 外国映画でも、続編になるとキャストが一新されてしまうことがありますからね。
本郷 だから、またエンヴィー役でオファーが来たことに、本当にびっくりしました。それで話を聞くと、山田(涼介)さんをはじめ、みんな続投するということで、ぜひ自分も出させていただきたいなと思いました。
―― 漫画やアニメーションのキャラクターは歳をとりませんが、俳優さんが演じる場合はそうではありませんね。その点は気にされましたか?
本郷 考え方はいろいろあると思うんですけど、作品のなかでは5年の歳月は経ってないんです(笑)。だから、前作で作ったイメージをなるべくそのまま出来ればという感じでしたね。それもあって、前作を見返すという作業は必要だなと思ったので、クランクイン直前に、チューニング的な意味で観ました。その前には、時間をかけて漫画も読み返しましたし、アニメも観ました。そういう作業は丁寧にやりましたね。
実写化されたキャラクターを演じるためのバランス
―― 『鋼の錬金術師』シリーズは、俳優さんたちの演技のテンションが、漫画やアニメを実写化するときの理想だと思うのですが。
本郷 正直、現実社会からは、かなり乖離したことをやっているし(笑)、かなりデフォルメされたキャラクターが、ビジュアルも含めていっぱいいると思うんですよ。それを人間がやるのは、バランスが難しいところなんですけど。
―― 本郷さんご自身は、現場で他のキャストの方とお芝居をされて、すぐにエンヴィーに戻れましたか?
本郷 前作で一緒にお芝居をしていたので、入りやすかったですね。それに、前作を撮影した後、宣伝活動でみなさんと一緒だったことも多いので、むしろ1作目を撮っていたときよりも仲良くなっていたのも大きかったです。たぶん、みんなそうなんじゃないかと思います。
―― 完結編は2部作なので、撮影期間も長かったのでは?
本郷 僕はポイント、ポイントでの登場だったので、暑い時期もあったし、寒い時期もあった気がします(笑)。でも、作品が重なったりすることはたくさんあるので、その日、現場に入って、いつもの顔ぶれを見たら、自然とスイッチが入りますね。