2010年の連載終了から7年経った今なお、世界中の読者を魅了し続ける『鋼の錬金術師』。そんな『ハガレン』が、Hey! Say! JUMP山田涼介ら、豪華キャストで実写化。12月1日の公開を目の前に、さらなる盛り上がりを見せている。そこでotoCotoでは、『鋼の錬金術師』の生みの親である漫画家・荒川弘先生にインタビューを敢行。現実世界に飛び出した『ハガレン』ワールドをどのように観て、そしてどのような想いを抱いたのだろうか?
<ハガレン6連続インタビュー企画>
第5回/原作者 荒川弘インタビュー
──「鋼の錬金術師」実写化と言えば、単行本15巻の巻末マンガの印象がファンの方には強いと思います。
読者の方はそうですよね(笑)。
──アシスタントのみなさまと「実写化したらどうなるんだろうね?」と、よく話していらしたと描かれていらしたので、こうして本格的な実写映画化が決まった際の率直な感想を伺えればと。
最初聞いた時の第一声は「おぉ~っ!」でした。15巻の巻末マンガのように、みんなで「どうなるんだろうね?」とワチャワチャ話し合っては、盛り上がっていたのを思い出しましたね。また、アニメやゲームとはまた違った「また新しい世界が見られる!」というワクワク感が押し寄せてきて、ずっと完成するのを楽しみにしていました。
原作を知っている身でも予想できないオリジナル展開
──今回、主役のエドを、Hey! Say! JUMPの山田涼介さんが演じました。荒川先生からみて、山田さんとエドが重なった部分、感動された部分は?
実写化にあたり最初に曽利(文彦)監督から「山田くんと一緒にやりたい」とお話しをされたんですね。私は映画『グラスホッパー』(15年)のナイフ使いの殺し屋役のあの子か!と驚きました。『グラスホッパー』のオープニングで長いカメラ回しで、山田くんは、チンピラたちをバタバタと殺していく。しかもその姿がまるで踊るかのようで。体術的、身体の動かし方、アクションが絶対に上手い! まさにエド向きだなと思いました。そして動きに関しては曽利監督が「漫画のようなコミカルなアクションができる」とも仰っていたとおり、原作のバタバタと必死に走るエドのコミカルさを、シッカリと表現してくれていて。「コミカルだけど運動神経がいい」部分をオープニングのアクションで全て見せてもらいました。
──また15巻の巻末の話になりますが、そこでは荒川先生は「監督はチャウ・シンチー、マスタング大佐は及川光博さん、エドはマメ山田か猫ひろし……」と、色々配役について夢想されていらっしゃいました。
ありましたねぇ。山田は山田でも、山田くんになりましたが(笑)。
──今回、夢想された方は一人も当てはまりませんでしたが(笑)、豪華俳優陣が演じられたキャラクターはいかがでした?
ディーン・フジオカさんが演じたマスタング大佐は、カッコイイ方向に振りきってくれて、主人公たちとは違ったキャラクターの立たせ方をしてくれましたね。ディーンさん、すごく良かった。ただカッコよすぎて申し訳ない気持ちがあります、マスタングって正統派二枚目じゃないですから(笑)。ヒューズ(演:佐藤隆太)は……ヒューズのまんま(笑)。本田翼さんのウィンリィは、普段から山田くんと本田さんが仲が良いということで、普段からのワチャワチャ感を活かして、エドとウィンリィの口喧嘩の感じをリアルに再現してくださいました。そして、ホムンクルス組。まず松雪泰子さんのラスト、思わず見入っちゃいましたね。内山(信二)くんのグラトニーは気味の悪さがスゴく出ていて、本郷(奏多)くんのエンヴィーは非常にナマイキ!な感じが出ていて良かった。本郷くん、普段はホワ~ンとした良い子なのに、カメラが入った途端に、グワッ!とふてぶてしい顔つきになるんですよ。スゴイなぁと感心しきり。