Nov 14, 2017 interview

ハガレンへの愛とリスペクトを込めて。本田翼インタビュー

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全世界シリーズ累計販売部数7,000万部超の伝説的コミック「鋼の錬金術師」。錬金術が存在する架空の世界を舞台に、エドとアルの兄弟が大切なものを取り戻すため試練に立ち向かう姿に多くの人々が心を動かされ、現在までにテレビアニメやアニメ映画、ゲームソフト化もされている作品がついに実写化! 注目の本作で主人公の兄弟の幼馴染でオートメイル(機械鎧)技師・ウィンリィを演じた本田翼さん。大の『鋼の錬金術師』ファンの本田さんに本作への思い、意気込みなどを語ってもらいました。

 

<ハガレン6連続インタビュー企画>
 第3回/ウィンリィ役 本田翼インタビュー

 

 

──熱烈な「鋼の錬金術師」(以下:ハガレン)ファンで知られる本田さんですが、一番最初に作品に触れたきっかけはお兄さんだったそうですね。

そうですね。おそらく小4くらいのときに、兄が買っていた(当時「鋼の錬金術師」が掲載されていた)「少年ガンガン」を偶然手に取ってハガレンを何気なく読んでみたら、“なにこれ、おもしろい!”と衝撃を受けたのがファーストコンタクトで。最初はエド(エドワード・エルリック)とアル(アルフォンス・エルリック)兄弟の挑むバトルや、大切なものを探しながら進むストーリーに惹かれて。ギャグ要素もあったので、親しみやすさも感じましたし。その後もお兄ちゃんが買ってくる「少年ガンガン」で連載を追いかけていました。

──それでは、連載の最終回もリアルタイムで?

中学生のときに一瞬離れていた時期もあったのですが、次の号に最終話が載るというのをキャッチして絶対に「少年ガンガン」読まなきゃと。でも、その号が売れ過ぎてしまい、次の次の号で最終話が再掲載されたのを覚えています。それを知って「少年ガンガン」編集部の愛情や、どれだけ多くの人がハガレンが好きだったのかを改めて知りました。もちろん私も最終話を楽しみにはしていたけど、終わったしまうことへの寂しさもあって。読みたいけど、読んだら終わっちゃうという葛藤がありました。

──完結後も折に触れて読んでいたりしました?

はい。このお仕事を始めて一人暮らしをするタイミングでコミックスの完全版を大人買いしました。実家にも全巻あったので一人暮らしの家にも持って行こうと思ったら抜けがあったりしたので、思い切って完全版を買い直して、それは今でも私の家にあります。

 

 

──そんなハガレンへの愛情深い本田さんが、ウィンリィ役にキャスティングされたのは奇跡的な符号ですね。

本当に素晴らしい作品なので正直、不安はずっとありました。撮影がどんどん進んでハガレンの映画が完成していく行程を感じながらも、私のウィンリィは正解だったかな、というドキドキが拭えなくて。私も完成した作品を観たばかりなのでまだ冷静になれないのですが、作品を観た関係者の方から感想をもらってやっと、自分のウィンリィは間違っていなかったのかな、と思えるようになって来たくらいです。

──ご自身のシーンについてはいったん置いておいて(笑)、完成した作品をご覧になってどんな感想を抱いたのか教えてください。

ストーリー的には、やっぱり終盤のクライマックスシーンが怒涛の展開の連続なんですよ。たくさん張られていた伏線がどんどん回収されて、辻褄が合っていく様子は本当にワクワクドキドキしましたし、よっぽどパワーを使いながら観ていたのか、終わった瞬間に、あらゆる感情がドッと押し寄せて来ました。エドを演じる山田涼介さんのバトルシーンや、敵対するホムンクルス(人造人間)たちとの戦いも含め、CGの迫力、クオリティ、とにかく全てに圧倒されてしまいました。特にCGに関しては完成するまでどう入るのかがわからなかったので、こんな風になるんだ、と感動してしまいました。あと、アルはこんなに大きかったんだな、とびっくりしました。

 

憧れのシーンを演じることが出来て感動でした!

 

──アルは全編CGだったそうですね。実際の撮影はどんな風に行われていたのですか?

アルの顔を画用紙で作って、長い棒の先にくっ付けてそこに向かってお芝居をしていたりもしました。アルの声担当の方(水石亜飛夢)がモーションキャプチャーを付けて現場にいらしたので、アルとの会話シーンはその方とのお芝居になるわけですが、実際のアルは身長が2mを越えている設定で。だから2m上に頭があると思いながら会話しなくてはいけないのに、声はもっと下の方から聞こえるから、反射的にそっちを見てしまって。撮影の序盤はそれに慣れなくて、アルと目線を合わせるのが難しかったですね。

 

 

──完全版のアルとは、完成した映画の中で初めてご対面したのですね。

そうなんですよ。だから、アルの身長の高さばかり気にしていたけど、横にも大きかったんだなと映画を観て思いました(笑)。

──実際にはそこにいないアルを感じながらお芝居をされるというのは、想像力を駆使する作業ですよね。気持ちの作り方にご苦労はありませんでした? 特にエドとアルがケンカをするシーンは印象的でしたが…。

難しいところでもありましたが、アルの声担当の方がいらしたので、その方をアルと思いながら演じることが出来ました。ただ、兄弟ゲンカのシーンは大事にしたかったので、特に時間をかけさせてもらい気持ちを作っていく作業をしました。スケジュールの制約がある中での撮影だったのに、曽利監督が“納得いくまで時間をかけていいよ”と言ってくださったのがとてもありがたかったです。

──撮影は主にイタリアで行ったんですよね。

はい、イタリアの都心部から離れた街だったのですが、ハガレンの世界観がそのまま現れているようで、降り立った瞬間にテンションが上がってしまいました。エドとアルと一緒に汽車に乗るシーンも多かったのですが、劇中に出てくる汽車はCGではなく本物なんです。もう使われていない100年前くらいの汽車を、撮影のために走らせていただいて。私自身も汽車初体験だった上、イタリアというロケーションも手伝って、マンガの中の世界がそのまま現れたような雰囲気でした。走行中にふと外を眺めると羊がいたりして、ファンタジーの世界に飛び込んでいるみたい!と思いました。私はクランクインがイタリアで、その次から日本での撮影だったのですが、最初にイタリアへ行けたことで世界観を肌で感じたり、実際の景色を目にすることが出来たので、よりウィンリィに集中させてもらえた気がします。