―― 古川さんご自身は「どんなタイプの役者だ」と認識していますか。
実はあんまり認識はしてないです。【憑依型】でもあるし、【分析型】でもあるので、半々というところです。カメラの前に立つまでは【分析】し続けて、カメラの前に立ったら【憑依】していたい、そうなれたらいいなと思っています。やはり「憑依した」と言い切れるほど、役に入りきれたことは片手よりも少なくて数えるほどしかありませんから。
―― 今回演じられた役【孫】ではどんな準備をされたのですか。
台詞覚えもそうですが、台詞から想像出来ることがたくさんあると思うので、そういうことも考えます。今回演じた役はそれほど準備することはなかったのですが、職業や家庭環境が明確である場合はとことん本を読んだりして調べます。そんなふうに納得行くまで準備をして“身体に沁みこんでいればいいな”と思います。
―― “役者になりたい”と思って事務所のオーディションを受けられたんですよね。“役者は面白い”と思われたきっかけを教えて下さい。
それがオーディションを受けたのは、就職活動の一環だったんです。こんな言い方をすると誤解を生むかもしれませんが、就職活動をする時に“自分が得意な分野は何か”を考えますよね。その時に“他の人よりも出来ているのでは?”と思ったのがお芝居だったんです。部活とはいえ、演技だけは周りからは良い評価を頂けていると思っていました。あと、私は飽き症なので習い事とかも続かないんです。そんな中で中学・高校・大学と唯一続いたのが演劇でした。だから“得意分野のことをしよう”と思って今の事務所のオーディションを受けた感じです。
―― 自分の「好き」をちゃんと見つけられたのですね。
この仕事は「好き」ということを実感しづらいんですけれども、根底に「好き」という気持ちがないと行動しないので多分「好き」なんだろうと思います。
―― デビューは2018年ですね。間にコロナ禍もありましたが、色々な作品で古川さんを拝見しています。NHKの連続テレビ小説「エール」(2020) から『街の上で』(2019) の今泉力哉監督や『偶然と想像』(2021) の濱口竜介監督、『リボルバー・リリー』(2023) の行定勲監督などとお仕事をされていて、しかもNetflixドラマ「幽☆遊☆白書」(2023) といったエンタメ系までドラマや映画で様々なジャンルの作品にご出演されていますよね。
本当に有り難いことです。実は“役がかぶっている”と感じたこともないんです。自分が好きな役だけだと偏ってしまいますが、そこのあんばいを見極めてくれるマネージャーさん達の存在によって本当に色々な経験をさせてもらっています。
―― Netflixドラマ「幽☆遊☆白書」で人気キャラクターである【ぼたん】を演じられていますが、プレッシャーはありませんでしたか。
今思えばそうですよね‥‥。お話を頂いた当時、私は原作も読んでいませんでしたし、【ぼたん】が人気キャラクターということもあまり考えずにおこうと思っていたんです。なので、蓋を開けたらという感じで(笑)。【ぼたん】がここまで日本人に愛されているキャラクターだったということに反応を受けてから知ることもたくさんありました。