――凄く人柄が出ていましたよね。もともと雨を狙って撮影しようとしてたんですか。
岸井 実は晴れている時に撮影したかったんですけど、予定が決まっていたので雨の中での撮影に変わったんです。結果的には、雨で良かったと思っています。
ツェン しかもちょうどあの時は、雨が前から降って来ていたんです。だから映画を観ると結構、僕の体が前のめり気味になっていると思います (笑)。あれは本当に“雨がゆきのさんの目を邪魔しないように”と思って、ちょっと前のめりにやっています (笑)。
――あのシーンは、大好きなシーンのひとつになりますが、茶カフェでお茶を淹れながら話すシーンも好きでした。
ツェン 撮影当日にお茶屋さんの店員さんにお茶の入れ方を学びました。
岸井 いいですよね、あのシーン。茶屋は凄く静かな場所だったので、建物の構造的にも目線のコミュニケーションが凄く映えるというか、さらにお茶を淹れる音や水の音が聞こえてきて、それが凄く効果的で素敵だなと思いました。
ツェン あのシーンの思い出は、台詞が多かったことです (笑)。本当に多くの台詞を言わなくてはいけなくて、おまけにお茶を淹れないといけない。さらには【ちづみさん】にお茶の淹れ方を教えないといけないので大変でした。本当に大変だったのですが、最初に撮った何カット目かまでは、“台詞が多くて大変だ”という感じだったのですが、段々と慣れてきて、最後の方の寄りのカットの撮影をする頃には慣れてきたこともあり、台詞の心配もいらなくなっていました。お陰で目でお芝居が出来るという、凄く細やかな気持ちの変化みたいなものを、表現することが出来ました。最後には“心地良いな”と感じられた撮影の思い出です。


――ひとつひとつのシーンが、たっぷりとした画で魅力的でした。今、お話しされたシーン以外で印象に残っている、もしくは好きなシーンを教えて下さい。
岸井 夜市のシーンです。明るい時間帯ですが、夜市を歩いている時の撮影は想定外の嵐だったんです。台風が来ていて、皆さんお店を出していたのですが、強風でお店をたたみ始めて。激しい嵐だったので中を歩くことになったんですけど、そこの臨機応変さも凄いと思いました。しかも逆に狙って撮ることが出来ない嵐を撮影することが出来たので、貴重だと思います。
私自身は何度も台北に行ったことがあるので、スコールに遭ったこともありますし、台風に遭ったこともあります。なので逆にリアルな夜市の姿が映っているんですよ。最初は「こんな状態では撮れないだろう」とスタッフさんも言っていたのですが、結果的にはあのような景色を映画で観ることが出来るので良かったです。日本の映画でも「9月は台風がよく来ますよね」と言っても、その台風をちゃんと撮影している映画ってあまりありませんよね。嵐の中での撮影はとても印象的でしたし、台北のリアルな景色を映したことで、「こんなこともあるんだ」「こんな景色もあるんだ」と日本の皆さんに思ってもらえるようなシーンになったのではないかと思っています。とても印象に残っています。
ツェン あのシーンは凄く覚えています。私も印象深いシーンは雨と関係するのですが、その夜市にフルーツを買いに行くシーンと、さっきお話した雨を庇っていたシーンです。2日とも「雨が止まないな」と話しながら車の中で止むのを待っていたことが印象に残っています。

