Dec 24, 2018 column

ヴィヴィアン・ウエストウッド、映画界、音楽史にも影響を与えた素顔とエレガントな生き方を辿る

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英国カルチャーのトップの座に君臨しながら77歳にして生涯現役を誓う世界的ファッションデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッド。彼女がパンクムーブメントを牽引するまでの秘話や、デザイナーとしての躍進と挫折、無一文からの再出発といったこれまでの道のりを語ったドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』が完成した。エレガントに自分らしく生きるヴィヴィアン・ウエストウッドの素顔を映した本作を徹底解説する。

 

秘蔵映像とインタビュー、名言と共に明かされるヴィヴィアン・ウエストウッドの素顔

 

ロックをコンセプトとした挑発的なファッションでロンドンの若者たちから熱狂的な支持を得たのち、パンクファッションのムーブメントを生み出したヴィヴィアン・ウエストウッド。王冠と地球をモチーフにした“オーブ(ORB) ”がブランドのアイコンロゴとなっており、日本でもヴィヴィアン愛好者は多い。

 

 

ファッションデザイナーの密着ドキュメンタリーと聞くと、大きなショーに向けて奮闘の日々を追うといったイメージがあるが、本作は監督を務めたローナ・タッカーが3年以上にわたりヴィヴィアンに密着しながら撮影しており、さらに過去のアーカイブ映像なども織り交ぜながら彼女の軌跡を辿っていく。まず冒頭の「“暴露話をしろ”って強制されるのはごめんよ」とカメラに向かって話す姿から、常に自分に正直に生きてきた様子が窺いしれるが、ヴィヴィアンのインタビュー映像に続くのは、デザイナーとして世間から注目を浴びて成功した彼女のことを二番目の夫マルコム・マクラーレンが妬んでいた事実や、離婚してから経営に失敗して無一文になったこと、テレビ番組で笑い者にされている姿などが包み隠さず明かされていく。

 

 

それでもヴィヴィアンは自分を見失わずカッコいい女性であり続け、デザイナーとしての才能を無駄にしなかった。というのも、パンクでアヴァンギャルドだったデザインを、19世紀以前のヨーロッパからインスパイアされたエレガントな路線に変更したことで大成功を収めたからだ。人気デザイナーに返り咲いただけではなく、教え子で25歳年下のアンドレアス・クロンターラーと出会い結婚という女性としての幸せまでも掴んだヴィヴィアン。アンドレアスと共にコレクション製作をする様子から二人で仲良く写真撮影をするラブラブな日常など、彼女のキラキラした瞬間も数多く切り取っているところも本作の見どころと言える。

 

 

彼女のプライベートシーンでの着こなしやヘアスタイル、自宅のインテリアなどお洒落で見飽きない映像だけではなく、スタジオやショールームといった仕事場での妥協しない彼女の厳しい立ち居振る舞や、「印象的な服を着れば、人生がもっと面白くなるわ」「服のデザインには、物語と個性が必要なの」といった数々の名言、さらにケイト・モスやナオミ・キャンベルといったスーパーモデルたちのインタビュー映像も盛り込まれ、通常のドキュメンタリー映画よりポップで楽しい仕上がりとなっている。