Jun 13, 2019 column

トニー賞授賞式の宴が終わって、ブロードウェイhere and now

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ブロードウェイ作品の収益について

さて、プロデューサー達にとっては、資金を回収し利益を上げるのが、一番の課題となる。そこで最後に、ミュージカル作品賞のノミネートされた直近の収益を紹介しようと思う。

ブロードウェイの今シーズン(5月から4月) の切符の売り上げは、2000億85万円という数字が出て記録が更新された。今年はスター・ウォーズのアダム・ドライバーをはじめに、ジェフ・ダニエル、トム・スターリッジ、ジェイク・ジレンホール、ブライアン・クランストン、ローリー・メトカーフ、アネット・ベニングと、ハリウッドでも活躍する俳優が数多く出演したことにも理由はあると思うが、今までになくYouTubeでブロードウェイの情報が広域に渡って露出されたこともあるだろう。

では、個々の作品はどうだろう。『ハデスタウン』の6月9日の週の収益は、約1億2800万円($1,181,102)。『エイント・トゥー・プラウド』が 約1億6400万円($1,513,346)。『トッツィー』は、6月9日の週、約1億1700万円($ 1,086,945)の収益をあげている。トニー賞を受賞した『ハデスタウン』は、きっとこの優勝を受けて需要が上がり、切符の値段も上がって収益も増えるだろう。しかし面白いのは、これだけの収益も、 『ハミルトン』の6月9日の週の約3億4100万円($ 3,153,319)という数字には届かない。

どちらにしても凄い額だが、何しろブロードウェイでは舞台を1週間見せるだけでも、約6700万円の運営コストがかかる。開幕に辿り着けるまでの費用を完全に回収するのにも時間がかかるので、損を抱えたまま千秋楽を迎える作品も少なくない。そこで「ブロードウェイの作品」という看板を掲げて全国ツアーする作品もある。とにかく莫大な費用がかかりリスクも大きいので、ディズニーなどの大手企業や、代々続く大資産家でないと利益が出るようになる前に息が切れてしまう。一方成功すれば、かなりの大金が長期間にわたり懐に舞い込んでくるので、それを使って次のリスクを背負って彼らは進む。そんなことから5月のノミネートの発表から授賞式までの間、各作品のプロデューサー達は懸命にPR活動に走り回っていた。彼らは授賞式が終わり、ひと時の休みを取っていることだろう。お疲れさまでした。

文/井村まどか

井村 まどか

ニューヨークを拠点に、ブログ「ブロードウェイ交差点」を書く。NHK コスモメディア社のエグゼクティブ・プロデューサーで、アメリカの「ドラマ・デスク賞」の審査・選考委員も務める。 協力:影山雄成(トニー賞授賞式の日本の放送で、解説者として出演する演劇ジャーナリスト)

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