Dec 19, 2020 column

耳で楽しむ音楽アニメ 新たな扉が開かれ始めている?

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『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rhyme Anima 公式サイト:
https://hypnosismic-anime.com/

今期音楽アニメでは本作に「ついにか」「やっとアニメ化きたか」と思った人も多いかと思う。人気男性声優による音楽原作キャラクターラッププロジェクトとして、原作CDの楽曲とドラマトラック、ライブステージなどによる展開がされていた同作。作品世界観やキャラクターは設定されていたし、キャラもあったし、なにより声優を起用したプロジェクトであることからアニメ誌などの雑誌の表紙や特集にもなったこともあったが、ついにTVアニメとなった。

『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rhyme Anima

武器による暴力が禁止され、戦いが言葉を人の精神に干渉させる特殊なマイク、“ヒプノシスマイク”での言葉の応酬によって行われるという設定の世界を舞台に、クライマックスでは毎回ラップバトルが描かれる。

この作品の特徴は題材としている音楽がラップミュージックだということだ。アニメであるのでさすがに生とはいかないが、フリースタイルっぽさを演出で描いているのも面白い。

この作品を僕が気にしたのは、以前にたまたま流していたFMラジオの番組で特集を聞いたことだった。その中ではアーティストがあくまで同コンテンツの音楽性に絞った話をしていて「ラップジャンルとしての楽曲のレベルの高さ」を解説していた。ラップミュージックは全くの門外漢なのだが、作詞・作曲に参加しているのもHIP HOPやラッパー界の名だたるアーティストだというそのラジオの解説が面白く妙に印象に残っていて、僕もなんとなしに展開を気にし続けていた作品だった。ライブ展開のことなどはさすがに無知なのだが、アニメ作品だけで書けば前記したようなこれまでの音楽アニメでは扱ってこなかったジャンルでかなり新鮮だ。

一方でラップ自体はオタクカルチャーと縁遠そうなものに思えながら、近年では自分が好きなアニメやマンガへの愛をぶつけ合うフリースタイルのラップ「オタラップ」が盛り上がりつつあるなど、ちょっとした流れが来ている。実は僕も「誰それが好き」だとかそこまでにまでは至っていないものの、言葉の使い方の巧みさやテクニックといった部分から近年ちょっとラップに興味が向いてきている。(あの語彙力とか即興力とかすごくない?)

もしかすると『ヒプマイ』という枠を超え、これからの音楽アニメにおける一ジャンルの先駆けとなる作品かもしれない。