Feb 23, 2018 column

『ポプテピピック』『おそ松さん』 アニメが生み出す放送のライブ感とは?

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twitterのトレンドワードにも頻繁に上がるため、いったいどういうアニメなの?と思っている人もいるかもしれないが、ザックリと説明をすれば変なアニメだ。公式でも“クソアニメ”を名乗り、ファンからも原作は“クソマンガ”、アニメは“クソアニメ”と呼ばれて愛されまくっている。(そもそも原作からして“クソマンガ”を名乗っていることに由来する) この番組のライブ感を説明するのは難しい。どうしても長くなってしまう。原作はコアなファンがついていた4コママンガだが、これも説明が難しい。ポプ子(短いほう)とピピ美(長いほう)の2人の中学生が織りなすナンセンスギャグといえばそうだが、「わかる人にだけわかる」というタイプの作品で、笑いどころや細かいネタなど、ある程度の(いわゆるオタクカルチャー方面への)知識や感覚が求められてしまう部分がある。そういう意味では「アニメファンではないという人にはかなり敷居が高く、薦めづらい」と言える…ハズなのだが、このアニメもまた放送(OA)で見ているライブ感と面白さに満ちているのだ。

全てが異色だ。予定では昨秋期からの放送であったが、突如1シーズン延期され1月期からの放送となった。多くのファンが待ちわびていた第1話が放送されるや…あれ??発表されていた主役キャストの「ポプ子:小松未可子 ピピ美:上坂すみれ」はどうなった??いや、それ以前に声が女性ですらなく、ベテラン“男性”声優の江原正士と大塚芳忠じゃないか!? 困惑のまま前半が終わり、CMを挟んで後半がスタート…??あれれ??前半と同じものが始まった?!どういうこと?!しかも今度は声がこれまたベテランどころか『タッチ』の三ツ矢雄二と日高のり子じゃねーか!?上坂すみれと小松未可子はどこへいった?!だいたい、なんで前半と同じものを繰り返し放送してる?! その内容も、ファミコンみたいなゲーム画面になったり、実写の変な映像が入ったり、人形アニメが入ったりと、もはや“アニメ番組”という括りからも逸脱をしている。

コア層向け・敷居が高いどころではない。いや、低いとか高いではない。敷居が壊れている。もはやアニメファン向けだとかも関係ない。「面白い“テレビ番組”が見たいヤツ向け」なのだ。

放送終了と同時に結構目についた感想が「『ウゴウゴルーガ』を思い出した」というものだ。実は僕もあの番組を思い出していた。90年代に一世を風靡した、フジテレビの子供向けバラエティ番組。おそらく今、20代中盤以上の人なら結構見ていたのではないかと思われる伝説のあの番組だ。多くのクリエイターが参加したあの番組は子供のみならず、むしろ「ちょっとイカしてるものを見たい」大人の視聴者をも引きつけ、多くの熱狂的なファンを生んだ。 実際、『ポプテピピック』のスタッフインタビューを読むと「2010年代の『ウゴウゴルーガ』を目指した」というのはあったそうだ。