Feb 23, 2018 column

『ポプテピピック』『おそ松さん』 アニメが生み出す放送のライブ感とは?

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録画やネットで後からも見られるという利便性の中でTV番組を見ていると、たまに「いまのTVにとって“ライブ感”とはなんだろう?」という疑問を考えてしまうことがある。 イベント性のある生放送番組であればそれ自体にライブ感はある。いま行われているオリンピック中継などはまさにそれだ。生放送ではなくともバラエティ番組にはトークの勢いなどが生み出すライブ感がある。じゃあ、生でもないしフリートークもない番組はライブ感が無いんだろうか?

ドラマやアニメはどうだろう。 台本がありカット割がされ、演技をし、編集を経て放送されるドラマやアニメはどうしてもこのライブ感というものから遠い物になる。しかし見ていて、アニメならではのやり方でライブ感を生み出している番組は確実にあるのだ。それはもはやアニメ番組という枠を超え「ライブ感のあるテレビ番組」。そんな番組のいくつかを挙げてみたい。

まずは『おそ松さん』だ。 『おそ松さん』についてはいまさら説明するまでもないだろう。2015年放送のTVアニメで一大旋風となり、昨秋からは第2期が放送されている。今さらこの作品を挙げることに意外性を感じる人も多いかと思うが、しかしこれはやはり特異な番組だと見るたびに思わされる。 『おそ松さん』と過去のアニメ化作品である『おそ松くん』との違いを挙げるならば、過去の『おそ松くん』がギャグアニメであったのに対し、『おそ松さん』はコントだというところだ。 ギャグには時代性がある。原作発表時は日本中の子供はおろかゴジラまでもがやった「シェー!」だが、今は決め技のギャグにはなっていない。あくまでイヤミというキャラクターの記号だ。6つ子の「ニートで童貞」もキャラクター設定でありそれ自体はギャグではない。あくまでそういった設定があるキャラクターたちによるコントだ。そういう意味ではキャラクターを作って展開するコント番組と同じ作り方である。 脚本はバラエティ番組を手がけている放送作家の松原秀が手がけている。アニメにおける脚本の役割は作品によっても異なるため、単純に脚本のウェイトがどのようなものなのかは視聴者には見えないが、この作品のコント性を見ているとこの“放送作家”が入っていることが大きいのではないかと感じさせられる。放送作家の中でもバラエティ。それもお笑い番組を手がけられる人の感性や才はやはり特殊だ。手間がかかるコント番組は、現在ではバラエティ番組でも少ないジャンルとなっている。その中にあって、バラエティではなくアニメにコントがあることはやはり異色だ。この「コント番組」たる部分が番組自体にライブ感を生み出している。

現在放送中のアニメでは『gdメン(ぐだメン)gdgd men’s party』のようなライブ感演出もある。数年前に放送されていた『gdgd妖精s』(ぐだぐだフェアリーズ)のNEXTシリーズとされており、同じ菅原そうたが監督を手がけているCGアニメ。 『妖精s』や『メン』が特殊なのは、お題があり、それに声優がアドリブで返す“大喜利”があるところになる。CGキャラクターであることにより、このアドリブへのキャラクターの反応を後から作り出すことが可能になっている。役を外れた、声優たちの素の反応が伝わってくるのがなんとも面白く、動くラジオ番組を見ているかのような不思議なライブ感がある。

そして、今期最大の話題…というより問題作のアニメ『ポプテピピック』