Dec 28, 2017 column

大人がハマる良質ドラマが多かった2017年。今年を振り返り、来年1月期の注目ドラマを解説!

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「僕たちがやりました」(ブルーレイ&DVD発売中)©2017 カンテレ

社会現象となった“逃げ恥”から、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」「べっぴんさん」などで盛り上がった2016年。続く2017年も様々な良作ドラマが誕生した。原作の実写版からオリジナル作品、医療、警察モノなど、話題を集めた2017年のドラマを振り返り、2018年冬からオンエアされる注目ドラマをご紹介する。

 

これを観ないと年は越せない!? オリジナル脚本から原作モノ、安定のシリーズモノまで、話題ドラマを総振り返り

 

2017年に話題をかっさらったのは、やはり坂元裕二が脚本を務めた「カルテット」だろう。大人の恋、夫婦の掛け合い、あえて心の中に閉じ込めた想いを引っぱりだすような、心をえぐる会話劇は、30代、40代から熱い注目を集めた。ここで注目したいのが、この作品が原作モノやシリーズものではなく、“オリジナル脚本”であるということ。

2017年は、オリジナル作品の良作が大きく目立った。宮藤官九郎が脚本を担当した「監獄のお姫様」は、クドカン流の細かすぎるボケや仕込みなどが受け、さらに豪華すぎるキャスト陣が扮した“おばちゃんたち”のおせっかいから生まれる、がむしゃらな復讐劇をコミカルに描き、爽快感の残る仕上がりとなった。
「女王の教室」や「家政婦のミタ」などの話題作を次々と生み出す遊川和彦が脚本を書いた「過保護のカホコ」も大きな話題となった。何も出来ないことに疑問を感じない主人公・カホコが、好きな人ができることで成長していく姿を描いた今作は、家族愛だけでなく、人とのつながりの大切さを教えてくれる作品だった。
さらに「プロポーズ大作戦」や「世界一難しい恋」の脚本を担当した、ラブコメに強い金子茂樹が脚本を担当した「ボク、運命の人です。」も健闘。1月からはまた、金子茂樹が脚本を担当する「もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~」がオンエアされるので期待したい。

原作モノも豊作の年だった。過激なシーンと暴力、青春を真っ向から描いた「僕たちがやりました」は、窪田正孝や永野芽郁、新田真剣佑、間宮祥太朗、川栄李奈など注目の若手が総出演していることでも話題となったが、本当に目をつけるべきところは、今の地上波でここまでやるかというレベルの描写。原作をリスペクトした作品だからこそ実現した、挑戦作となったのだ。
アラサー、アラフォー女子の心を遠慮なくえぐったのが「東京タラレバ娘」だろう。東村アキコの原作を見事にドラマで再現した手腕は表彰レベル。「金髪の坂口健太郎がたまらなく好きでどうしよう」とのたうちまわるアラサーが続出し、今もその屍がウヨウヨしているのは否定できない。
そして、池井戸潤原作の「陸王」も熱かった。「下町ロケット」に続く、企業再建を描く今作は、働く意味、仲間との絆、信じる心を教えてくれる、多くの人が“こはぜ屋”を応援したくなるような、力強い作品だった。
そのほか、東出昌大の振り切った演技が話題を呼んだ「あなたのことはそれほど」、さすがの湊かなえ作品ともいうべき、どんでん返しに息をのんだ「リバース」なども満足度が高かった。これも作り手へのリスペクトがあるからこそ成立したものだろう。

毎年、安定した人気を誇る医療シリーズものも大健闘。「ドクターX ~外科医・大門未知子~ 5」は説明不用の大人気ぶり。まるで水戸黄門の様に、何があっても失敗せずに成功を重ねていく姿は見ていて気持ちがいい。さらに「コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―THE THIRD SEASON」は、これまでのメンバーに新人フェロー陣を追加し、新たな人間関係を描く作品に仕上がった。
また、今回も涙なしで観られなかったのが「コウノドリ」だ。原作にはない“出生前診断”“羊水検査”を取り上げたり、障がい児との向き合い方など、出産後までをしっかり描写することで、より深みのある作品となった。これらの作品は今後も続いてほしい大ヒット作。これからの展開をさらに期待したい。

警察ものの人気も侮れない。圧倒的なスケールとリアリティ溢れる描写だった「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」、そして「小さな巨人」では、警察という名の巨大組織の中でもがき、奮闘する男たちの戦いを描いた見ごたえのあるエンターテイメント作品となっていた。正義とはいったい何なのか、そんな事さえ思わせてくれる中身の濃いこの2作品は、世代を超えて支持された。

さらに深夜ドラマも大人が楽しめる作品が多かった。ドラマや映画で活躍する名バイプレイヤーたちがシェアハウスするという設定が素晴らしかった「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」、志尊淳が理想の年下男子を演じた「きみはペット」、ストーリー展開とキャスト陣の演技が話題を集めた「奪い愛、冬」、連続ドラマとして初挑戦だったひとり芝居が面白かった「吾輩の部屋である」など、秀作が多数誕生した。