Apr 06, 2017 news

吉岡里帆の活躍は偶然ではなく必然、役者になるための下準備は整っていた

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第55回

『名探偵コナン  から紅の恋歌(ラブレター)』の完成披露試写会舞台挨拶が4月3日、東京国際フォーラム  ホールCで行われた。

舞台挨拶には、レギュラー声優の高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、堀川りょう、宮村優子、ゲスト声優の宮川大輔、吉岡里帆、主題歌を担当した倉木麻衣が登壇した。

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CM8本、TVドラマ2本、映画2本、ラジオ1本。 まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いの吉岡里帆の2017年。

キュートな笑顔と人懐っこい性格、そして、“私脱いでも凄いんです”的なダイナマイトバディで、今日本中を席巻している吉岡だが、今回挑戦したのは、それらの武器を全て封印して行った“声”の仕事だった。

国民的人気アニメ『名探偵コナン』の劇場版21作目に、ゲスト声優として参加した吉岡は、「10年くらい時間を頂いてもいいですか? っていうくらい、皆さんの技術が凄かったです。一言一言で感情を伝えるのが本当に難しかったです」と、プロの声優の凄さを身をもって体感したようだ。

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アフレコ収録前には、吉岡がやっているラジオに、声優の林原めぐみ(『名探偵コナン』の灰原哀役)を招き、直々にアドバイスをもらい、声優の何たるかを教わったそうで、実際に吉岡の“声”を耳にした、【江戸川コナン】役の高山みなみからは「吉岡さんはすごい勘が良くて、勉強してきたのが伝わりましたし、コナンを愛してくれているんだなというのが滲み出ていました」と、お褒めの言葉を頂いていた。

吉岡里帆は、1993年に京都の太秦に生まれ、映像会社を経営するカメラマンの父や、母・祖母の影響を受け、幼少時より映画や演劇、歌舞伎、能、日本舞踊、落語など、様々な芸術文化と接しながら育ってきたという、日本の伝統をその身に染み込ませてきた、いわば生粋の役者と言っても過言ではない。

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そんな吉岡が女優として活動を開始したのは2013年。しかし、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』や、2015年公開の大ヒットアニメ『バケモノの子』など、数々の作品のオーディションに挑戦するも落選続き。世間に少しずつ知られるようになったのは、女優としてではなく、グラビアイドルとしての方が先だったかもしれない。

スクリーンデビューを果たしたのは、2015年公開の『マンゴーと赤い車椅子』。そして、同年公開の福田雄一監督作『明烏  あけがらす』で、はっちゃけたコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮すると、観客だけではなく、“関係者”たちの目にも留まることになる。

一度落選していた、NHK連続テレビ小説『あさが来た』では制作サイドの意向で、波瑠演じるヒロイン【あさ】の娘の親友役で物語途中よりレギュラー出演。そして、『あまちゃん』のオーディション以来の再会となった、宮藤官九郎の脚本作品『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)に出演し、民法連続ドラマの初レギュラーとなった。

その後の吉岡の活躍は周知の通り、目を見張るものがある。

女優としての彼女の骨格を作ったのは、何も産まれ育った環境だけではない。 上京資金を得るために約1年間、某ホテルでアルバイトをし、そこで接客を学んだことが大きかったようだ。 吉岡本人も「人を楽しませるための気遣い、気配り、おもてなし。この3つは、今でも役者をやるうえで大事なことです」と語っているほどだ。

役者になるための下準備はすでにできていた。 現在、吉岡里帆が大活躍しているのは、決して偶然ではなく、必然だったのかもしれない。

今後もますます目が離せない存在である。

映画『名探偵コナン  から紅の恋歌(ラブレター)』(東宝配給)

映画『名探偵コナン  から紅の恋歌(ラブレター)』(東宝配給)は、大阪や京都を舞台にして、「百人一首」をキーワードに描かれる、青山剛昌による大人気コミックをアニメーション映画化した、『名探偵コナン』の劇場版21作品目。

監督:静野孔文
脚本:大倉崇裕
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、堀川りょう、宮村優子、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、ゆきのさつき、宮川大輔、吉岡里帆 ほか

公式サイト http://www.conan-movie.jp/

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。