東京中央銀行と電脳雑技集団が買収しようとしているスパイラルは、2020年1月3日に放送された半沢直樹スピンオフドラマ『〜狙われた半沢直樹のパスワード〜』でも重要な舞台となっていた。
セントラル証券が株価のネット売買にも大いに関係してくるネットシステムの大規模な入れ替えを頼んだ会社のひとつがスパイラル。そこで、半沢直樹のID とパスワードが盗まれて巨額な預金が奪われそうになったとき、スパイラルの天才プログラマー高坂圭(吉沢亮)が大活躍する。スピンオフには半沢直樹はここぞというときしか出てこなくて、主役は若者・高坂だった。
高坂がかなりの天才っぷりで、ガンダムのニュータイプみたいに目元に光がピピっと走ると、コンピュータ関連のことには才能を発揮。でもそれ以外のことはぼーっとしていて失敗も多い。スピンオフは登場人物が若く、IT業界でがんばる新生代の青春群像という爽やかなドラマで、本編とはだいぶ雰囲気が違う。最初は半沢のことを「やられたらやり返すなんてバカじゃないですか」「もっとやられるだけです」と軽視していたが、最後にはいつの間にか会ったことのない半沢が乗り移ったかのように、仲間との信頼や、お客さんの大切な人生を守ろうと考えるようになる。半沢直樹がいなくても、半沢魂を浸透させる影響力の大きさを感じさせる展開であった。現在、Paraviで配信中なので、未見の人はこちらも見てみると、本編がより楽しめると思う。
『半沢直樹』の本編がはじまってスパイラルが出てきたとき、スピンオフからの続投は瀬名と会社を辞めた加納(井上芳雄)だけで、高坂はどうしたのだろう、出てこないかなと思っていたら、2話の終わり、3話の予告に出てきて、SNSをざわつかせた。 3話ではまた天才っぷりを発揮して活躍してほしい。高坂は浜村といい感じになっていたのだが、その関係も描かれるだろうか。
スピンオフドラマのなかで半沢とスパイラル社長・瀬名(尾上松也)は雑踏のなかですれ違っている。その場面が、シーズン2の第1話にも出てきた。瀬名の父は、万年筆をつくる町工場を経営していたが、経営難で会社も生命も失ってしまった。ネジを作っていた父をもつ半沢と境遇が似ていて、歴史は繰り返すのだなあと思わせる。
瀬名と、半沢の部下・森山は幼馴染み。いろいろな縁がつながって、どうなっていくのか。森山は高坂と同じく、半沢魂を受け継いでいくだろう。若者たちと一緒になって半沢は親会社の陰謀をくぐり抜けることができるのか。ラスボスは誰になるのか気になる。
文・木俣冬
2013年に放送されたドラマ 日曜劇場『半沢直樹』 の続編として、池井戸潤 氏の原作「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」を原作とした作品。
東京中央銀行のバンカー・半沢直樹が、大阪西支店融資課長から本部営業第二部次長に転じ、銀行内で行われていた数々の不正を明らかにするも、まさかの出向を命じられるという衝撃の展開で最終回を終えた前作。今作は、その半沢が出向先の東京セントラル証券に赴任するところから物語が始まります。
原作: 池井戸潤
脚本: 丑尾健太郎 ほか
演出: 福澤克雄、田中健太、松木彩
プロデューサー: 伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋福出演: 堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、角田晃広、今井朋彦、粟島瑞丸、土田英生、小久保寿人、加藤 啓、丸 一太、持田将史、戸次重幸、益岡 徹、井上芳雄、南野陽子、山根基世、筒井道隆、江口のりこ、柄本 明、古田新太、井川 遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、ほか
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日曜劇場『半沢直樹』 公式サイト:
https://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/