Dec 16, 2022 column

映画『Dr.コトー診療所』公開記念 ヒューマン・ドラマの金字塔を振り返る

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Dr.コトー診療所2006

スペシャルドラマから時を経て、2006年に放送されたシーズンは、前シーズンを上回る平均視聴率22.4%、最高視聴率25.9%という驚異の高視聴率を記録する。

初回23.2%の視聴率を記録したことから人気のほどがうかがえるだろう。
満を持して2006年10月12日に放送された第1話「二人の約束」では、いきなり情報量がてんこもりだ。

医学部を目指す原剛洋が有名私立の開瑛中学校に合格し島全体で喜ぶなか、母のためにと理学療法士の資格を取るため、彩佳も上京。しかし彩佳は資格取得のためだけでなく、乳がん検診を受けていた。
彩佳の担当医である鳴海慧(堺雅人)から「悪性の腫瘍だ」ということを知るコトー。そのことについて話し合うが、「独りで治療する」「誰にも言わないで」と彩佳の願いをコトーは受け止める。
2人の間の秘密が互いの絆を強く確認するものとなる。

医療ヒューマン・ドラマの原点として語り継がれる作品として地位を築いた本シリーズは、夫婦の話がメインで描かれる。

2006年11月2日放送の第4話「父のあやまち」では、1年前の豊漁祭の夜、酔っぱらい、妻が倒れたことをに気づかなかった正一は、「一切酒を飲まない、祭りにも参加しない」とトラウマになっている。そんな折、妻昌代の麻痺は治らないとコトーから告げられる。気を落とす正一だが、昌代に「祭りに行こう」と連れられ、出来なかった銀婚式祝いだとビールを酌み交わし、夫婦の絆を強くする。

2006年11月23日放送の第7話「命の期限」、翌週放送の第8話「幸福への決断」では、先シーズンで、娘と自身の命をコトーに救われた坂野ゆかりにガンが発覚。全身転移していて、もって3カ月の命ということが、夫の孝に告げられる。
絶望の中、島での抗癌剤治療に励むと、奇跡的に腫瘍が小さくなり手術で摘出可能となるが、命の危険があることに変わりはない。
しかし、子供の成長を見届けるため、なにより家族と一緒に過ごすために手術を決断。そして見事成功する。ゆかりの生きようとする力にコトーは胸を打たれる。

2006年12月7日放送 第9話「愛を乞う者」では、星野彩佳に変わって、志木那島の看護師として赴任した仲依ミナ(蒼井優)のもとに夫だと名乗る仲依知明(忍成修吾)が現れる。
実は、この夫のDVに耐えかねて、離婚届を出し、島に逃げてきたミナ。赴任当初、採血もうまくできず、ドジを繰り返していた彼女も、この頃には島民の信頼を獲得し、みんなが彼女を守ろうとする。なかでも診療所の事務長である和田が彼女を献身的に支え、恋仲に発展するように思われた。

そして、2006年12月14日放送の第10話「失われた信頼(「切り裂かれた夢」)」、最高視聴率25.9%を記録した翌週放送 第11話「逃れられぬ、医師の宿命(「医師の宿命」)」とクライマックスでは、彩佳の乳がん摘出手術が迫っていた。

再発や後遺症により看護師が続けられないかもしれない不安でいっぱいの彩佳の気持ちを知りながら「担当医でもない僕にはなにもできない」というコトーに、星野夫妻を始め、和田、ミナら島民みんなが背中を押し、彼は上京する。そして「僕が何度でも治します。彩佳さんのずっとそばにいます。僕にオペをさせてください」と伝え、彼女は涙ながらに承諾する。
互いの想いを確かめあった2人は手術に臨む。最愛の人の手術に動転するコトーだが、手術はなんとか成功しハッピーエンドを迎えた。