ヒーローもの出身の俳優たちの底力
──結果的に後半、20%を超えて、判断が正しかったことが証明されたわけですが、スローで丁寧っていうのは、岡田さんが得意なジャンル。みんなで集まって15分、しゃべっているようなドラマは、世の中のニーズと合致する確信はありましたか?
視聴率的に、今回、序盤、それほど思うような結果が出なかったときに、理由をいろんな人が分析して、朝ドラとは本来こういうものであって、『ひよっこ』にはこれが足りないという指摘を受けまして。そんなにみんなの中で、朝ドラとはこういうものだ、という認識があることにも驚きました(笑)。
──この数年、朝ドラを語るブームが起きていますからね(笑)。
もう少し前に、『ちりとてちん』(07年)があって、『カーネーション』(10年)、『あまちゃん』(13年)と来たとき、次はどうする? っていう、作品の多様性を歓迎する空気がもう少しあったような気がしますが。例えば、最近は、ヒロインは誰と結婚するのかとか、スピンオフはあるのかとか、取材で必ずそういう質問をされます。スピンオフだって、僕は過去2作やっていないのですが、いつの間にか、漏れなく本編に付いてくるもののように、いまでは思われているんですね(笑)。
──相手役については、『ひよっこ』では、最初に綿引(竜星涼)が出てきてヒロインに親身になってくれて、その後、島谷(竹内涼真)が本命のようにキラキラと出てきたものの、結果、ヒデ(磯村勇斗)だったという、最後まで展開がわからないようになっていましたが、それは決めていたんですね。
決めていました。でも、プロデューサーと相談して、「僕らもまだわかりません」と答えるようにしていましたし、当の磯村くんにも言わないでいました。自分が最終的にヒロインの夫になるとは、まったく思ってない顔をしていてほしかったので。でも、みね子のお父ちゃん・実が最初にすずふり亭に来たときから、ヒデは立ち会っていて、それからずっとすべてを観ているんです。そんな彼の目線を大事に撮ってもらうようにしていました。
──竹内さんには、島谷は本命ではないと言ってあったのですか?
最初から明示してたかどうかはわからないです。でも、みね子と恋人になったときには、この恋は辛い結末になることはわかっていたと思います。
──今回、竜星、竹内、磯村と、仮面ライダーや戦隊ヒーロードラマ出身者でしたが、それは意識されていますか?
ヒーローを起用したから観てくれるだろうという意識はないですが、彼ら一度、熾烈なオーディションをかいくぐって、大きな役を担ってきた分、力があるのは感じます。今回、みね子役の有村架純さん以外の若者たちは全員オーディションで決めていて、当然彼らも横一線で、オーディションに参加してくれていたのですが、勝ち抜き能力がすごいと感じましたよ。