May 03, 2018 column

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(後編) 漫画家編の面白さと難しさ、そして後半の展望とは?

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──ちなみに、勝田さんが学生の頃などに影響を受けたテレビドラマや映画はありますか?

NHKのドラマだと山田太一さんの『男たちの旅路』とか、硬派な社会派のドラマが好きでした。あと、向田邦子さんのドラマとか。ああいうのを作りたいなと思ってドラマ部に入りました。“朝から楽しく観られる”ことが大事な朝ドラ制作にたくさん関わっているにもかかわらず、意外と思われるかもしれませんが(笑)。

 

 

──でも、そういう別の側面のある方が作るところにまたおもしろさを感じます。

そうなっているといいんですけどね。

──朝ドラや大河ドラマは「やりたいです」と希望を出すものですか?

題材にもよりますが、『これやりたいです』と言って手をあげるというよりは、やっぱり朝と大河ってドラマ部にとっては米の飯というか……つまり、それをしっかりやってこその他のドラマであり、ドラマ番組部が一丸となってしっかり取り組んでいかないといけないものなんです。

──ということは、誰もが必ず一回は通る道ですか?

ところが、中にはまったくやらない人もいます。こればかりはほんとにたまたま巡り合わせで。かなりのベテランが、初めてやるという場合もあるんですよ。

──話を戻しまして、『半分、青い。』は、現代劇ではないけれども、いわゆる武士がいるほどの時代劇ではない。中間というか、近代劇です。40代50代ぐらいの視聴者にはど真ん中で、激しく反応していますが、もっと上の世代はどう捉えるとお考えでしょうか。

最初にお話したように、すごくオーソドックスなホームドラマにもなっていて、当時の流行はドラマの要素のひとつでしかありません。家族のみならず、序盤は高校生の青春模様ですが、北川さんの名人芸で、大人が自分の若いころを思ってキュンとしたり感情移入できるように描いてくださっています。家族、青春、恋……など誰しもが体験することがしっかり描かれていれば、どの年代の方にも楽しんでいただけると信じています。

──朝ドラは、視聴率も高く、視聴者からの注目度が高いですが、その視線に常にさらされるご心境はいかがですか?

よく『プレッシャーですか?』と聞かれますが、正直なところ、私は、数字は気にしていません。いつまでも20%以上という状態が続くわけもないというか、続いてくれたらうれしいですけど、続かないかもしれません。だから、そこに固執して、朝ドラでこんなことをやったら嫌われちゃうかな……と考えるよりも、新しいものを提示していくことや、見た人がいつまでも心に残るようなものを考えていくことが大事だと思っています。

──オーソドックスに「今までの感じをやっていこう」と思うタイプの方と、ちょっと違うことに挑もうという方とがいるんですかね。

自分のところでこけさせたくない、と思う方も人もいらっしゃるでしょうけれど、守りに入っていれば数字がついてくるかというと、たぶんそういうことでもないと思うので……。まずは、恐れずに、あえて踏み出してみようかな、くらいの気持ちでやっています。結果、たくさんの人に見ていただけたらこれほどうれしいことはありませんが。

 

 

──半分くらいまで収録しているということでしたが、だいたい最終回の決着点みたいなのは見えているんですか。

決着点は最初から見えていますが、ただその間をどう運んでいくか、今まだ引き続き、北川さんとやり取りしている感じです。

──漫画家を諦めて岐阜に帰って、そのまま岐阜での物語になりますか。

そのへんはまだ秘密です(笑)。