May 03, 2018

コラム

『半分、青い。』制作統括・勝田夏子ロングインタビュー(後編) 漫画家編の面白さと難しさ、そして後半の展望とは?

──この記事が載る頃、豊川さんが登場していますが、くらもちふさこさんという女性が描くものすごくかっこいい男の子に、女の子が恋する話を、あの豊川さんが描いているかと思うと(笑)。

あの風体の人が描く、その意外性のおもしろさですよね(笑)。

──現場ではどんな感じですか。

すごくおもしろいですよ。セットで、くらもちふさこさんの絵が大きな壁紙になっていて、その絵を背負って、秋風が漫画について語るという、ものすごくシュールな場面がありますが、その説得力はすさまじいです。豊川さんが持っている説得力と、くらもちさんの絵が持っている説得力が両方乗っかってくるので。これはなかなかすごい場面になりました。

 

 

──鈴愛が描く漫画を、なかはら・ももたさんが担当していますね。

そうなんです、お知り合いだそうですね。

──はい。『あまちゃん』のファンブックを通してお知り合いになって、その本に参加した人たちで久慈へ旅行に行ったとき、親切にしていただきました。

ずっと朝ドラをフォローしていただいている漫画家さんなんです。

──それがオファーのきっかけですか?

いえ、これまた北川さんと昔からのお知り合いで、紹介して頂きました。すごく画力があって、しかもその絵がものすごく可愛くて、鈴愛が描きそうな絵だなと感じました。

──他にも、アシスタント仲間たちの描く絵を頼んでいる方もいるのですか。

ユーコ(清野菜名)とかボクテ(志尊淳)が描く画は、こちらで見つけた方々にお願いしています。

──手が映る方はまた別の方が。

フキカエの方に、手の部分はお願いしています。もっとも、キャストがみんな作業がうまくなって、フキカエ要らずのことも多かったですが。

──そう聞くと、確かに通常の撮影よりも手間がかかりそうですね。さて、主題歌の星野源さんは、『ゲゲゲの女房』つながりだそうですね。

俳優として出演していた星野さんが打ち上げのときに披露された歌がすごくよくて、心に残っていたんです。その後も折に触れて、彼の楽曲は聞いていましたが、最近のご活躍ぶりを見ても『今でしょ』と(笑)。タイミングとしてほんとにベスト、満を持してじゃないかなって思っています。

──『ゲゲゲ』の頃の星野さんのエピソードはないですか?

あのときはほんとに大人計画の俳優さんという印象で、お芝居が巧いと思って見ていました。あと、温厚で謙虚な方でした。普段、すごくノーマルに見えただけに、打ち上げのときにギター1本で並外れた歌を3曲歌われたギャップがいっそう印象に残ったのだと思います。

──漫画も音楽も、その他、折につけ出てくる80年代カルチャーを集めることにも力を入れていますか。

そうですね。ただ現場で働くスタッフも若返っているので、80年代のことをリアルに知らない人も多いんです。20代の子はもちろん、芽郁ちゃんみたいな18歳ぐらいのキャストだと、黒電話のかけかたすら知らなかったりして。そのため最初、時代考証をつけようと思ったのですが、80年代以降の時代考証全般やっている人はいなくて、家電なら家電など、ある特定のジャンルの専門家に個々に聞いて回るしかありません。スタッフが手分けして、ジャンルごとに調べています。

──このアイテムはかなり貴重ですというようなものはありますか。

美術スタッフに聞くと具体的なアイテムが出てくるかと思いますが、懐かしいものがいろいろ出てくる中で、私の当時の体験として琴線に強く触れたのは、やっぱり、“テレビの歌番組をラジカセで録音する”ことです。そのシーンがまた、おもしろいんですよ。北川さんがすごくうまく料理してくださって(9話で、テレビを録音していたら、晴と鈴愛が喧嘩をはじめ、その声が録音されてしまう)。そういう、ちょっとした当時の日常みたいなものを、クスッと笑える感じでいろいろ取り入れてくださっているので、視聴者の皆様に楽しんでいただけたのではないかと思っています。

──勝田さんもテレビをラジカセで録音していました?

してました(笑)。

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