Apr 20, 2024 column

映画を観終わったあと、泣いちゃって喋れなかった‥‥LiLiCoが映画『異人たち』への熱い想いを語る

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冒頭は静か

マンションにいるアダムはひとりだからもちろん静かで、とても悲しい目をしてる。脚本家としてスランプに陥っている。説明もない、彼の心の声を表すナレーションも一切ない。彼のお部屋の中での行動でどんな人なのか、読み取れるのだ。そこに突然同じ建物の別の階に住んでいるハリーが尋ねて来る。初対面でふたりの間に流れる目に見えない力を感じ、これからこのふたりは恋に落ちるだけではなく、永遠に忘れることのない何かがゆっくり爆発するのだろうとこのシーンから感じとれる。

静かな場面がつづくのにたくさんの感情が大きな音を立てて飛び交う。何かを抱えながら生きて来たのは間違いない。彼らは一体どんな人物かを早く知りたくなる。お母さん、お父さんというワードが登場するが、正直言って最初は物語をいまいち理解出来なかった。わたしは何かを見逃してしまったのかと少しだけ迷った。このシチュエーションはどういう意味か、と。

たわいも無い話で微笑み合い、そして少しディープな話になると両親の心配や理解してもらえないこともある。学校でいじめられていたとアダムが素直に話したときに、お父さんが “俺も同じクラスだったらきっといじめてた” と言ったときにわたしの心臓がギュッと縮んだ感覚になった。人の醜い感情もそのままに。いじめられていたことを言ってくれれば守ってあげたのに、でもなく、相談にのってあげたのに、でもなく、お父さんの性格がもろストレートに現れる大切な場面です。そして大人だからこそ父親に話せたこともなんだか悲しい。

でも後に父親が放つ言葉。大人になったアダムに会えて更に好きになった‥‥この言葉の通り、わたしは大人になった自分を両親に誇りに思ってほしい。日頃はあまり考えない気持ちかもしれないけど、みんなどこかで思っているはず。失敗もいっぱいしましたけど、なんとかここまで来ましたよ、お父さんお母さん見てる?ってね。