Dec 30, 2022 column

MCUに007、ゴッドファーザー‥‥etc. 名作スピンオフが面白い ! 配信オリジナル映画&ドラマ [Part2]

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otocotoでは年末・年始に楽しんでもらいたい、動画配信サービスで観られる今年配信開始された配信オリジナル映画&ドラマのおすすめ作品をご紹介。

今回のテーマは「配信オリジナルの海外作品」。多くの作品群のなかから、人気シリーズのスピンオフとドキュメンタリーに注目。ファンが喜ぶ笑いありの休暇中にぴったりなスペシャルとは? 超大作を彩る音楽制作の裏側に何があったのか? 自分を語らない女性シンガーが話した内容とは? 映画作品とは少し違った魅力を感じてください。

01. 映画ライターが選ぶ2022年おすすめ配信オリジナル映画

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』(Disny+)
ホリデーシーズンには目いっぱいの遊び心を!

年末年始(ホリデーシーズン)にお薦めする2022年の配信作品といえば、本作をおいて他にない。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のフェイズ4を『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』とともに締めくくったのが、おなじみ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以下『GOTG』)シリーズから派生した本作。目いっぱいの遊び心と、監督・脚本のジェームズ・ガンによる卓越したストーリーテリングを楽しめる40分間だ。

2021年以降、MCUは長編映画だけでなく、ディズニープラスでのTVシリーズを常に並走させている。しかし(残念ながら)マーベル・スタジオさえ、過密なスケジュールの中で従来のクオリティを維持することはできなかった。特にTVサイドが厳しい状態にあったことは否定できず、映画以上の長尺を費やすだけの必然性があるストーリーや、優れたTV作品が無数に存在する業界のシーンに対応できた作品は少なかったのである。

そんな中で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル』の勝算は、これはあくまでTVスペシャルだと割り切り、一種のバラエティ作品として開き直ったところにある。

愛するガモーラを失ったスター・ロード/ピーター・クイル(クリス・プラット)に、ドラックス(デイヴ・バウティスタ)とマンティス(ポム・クレメンティエフ)は最高のプレゼントを用意しようと考える。それは、ピーターの“ヒーロー”である俳優ケヴィン・ベーコン。ドラックスとマンティスはひそかに地球を訪れ、ベーコンを誘拐しようとする‥‥。

そもそも『GOTG』において、ピーターが幼少期を過ごした地球に戻ることは禁じ手。MCUなりのスペースオペラとして、絢爛かつキッチュな宇宙を旅するのがマナーである。しかし製作費の都合もあろう、本作はガーディアンズが滞在する惑星ノーウェアと、ドラックス&マンティスが訪れる地球に舞台を絞り、VFXも最低限に抑えた。アクションもほぼ実写撮影、回想はアニメーションという工夫も凝らされている。

結果的にくっきりと浮かび上がったのは、シリーズのこだわりであるミニマムな家族劇と、ちょっぴり不謹慎な笑い、変わらぬ選曲センス、じわりと染みる温かさだった。もちろん中編作品だから、物語として特別なこともしていない。ここにあるのは、「たったこれだけのこと」をシンプルに、『GOTG』の世界観とジェームズ・ガンの作風で観られる贅沢さだ。そしてガンは、やはり実写志向だったDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)と同じく、コミック映画の本質がVFXではなくキャラクターとストーリーにあることを教えてくれる。どこかガンの初期作を思わせるインディペンデント精神もうれしい一本だ。

シリーズの派生作品だから、本作を『GOTG』入門編とすることはお薦めしづらい。けれどファンにとっては、これはバランス感覚に長けた息抜きであり、2023年5月3日公開『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の豪華な予告編。この作品を観たら、もはや次の展開が気にならずにはいられないだろう。

文/稲垣貴俊

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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』

監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、デイヴ・バウティスタ、ポム・クレメンティエフ、カレン・ギラン
吹替声優:山寺宏一、加藤浩次、遠藤憲一、秋元才加、悠木碧
© 2022 Marvel
公式サイト disneyplus.com/ja-jp

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