Dec 30, 2022 column

MCUに007、ゴッドファーザー‥‥etc. 名作スピンオフが面白い ! 配信オリジナル映画&ドラマ [Part2]

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02. 映画ライターが選ぶ2022年配信オリジナル映画 

『サウンド・オブ・007』(Amazon Prime Video)
ジェームズ・ボンドを彩った名曲を追うドキュメンタリー

みんな大好き007、みんな大好きジェームズ・ボンド。その映画の歴史は、主題歌を飾ってきたロック・スター&ポップ・スターたちの歴史でもある。

古くはトム・ジョーンズ、シャーリー・バッシー、ナンシー・シナトラ、ルイ・アームストロング。80年から90年代にかけてはポール・マッカートニーやシーナ・イーストン、ティナ・ターナー、マドンナが起用され、最近ではアデル、サム・スミス、ビリー・アイリッシュがそのラインナップに名を連ねた。

そして、今年の10月5日にAmazon Prime Videoで独占配信されたのが、シリーズ製作60周年を記念して制作された『サウンド・オブ・007』。第1作『007/ドクター・ノオ』から最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで、シリーズを彩ってきた音楽にスポットを当てたドキュメンタリーである。

いや、マジでこれめちゃくちゃ面白いし、勉強になります。筆者はこれまで、「ジェームズ・ボンドのテーマ」はジョン・バリーが作曲したものと思い込んでいたのだが、実はこちらモンティ・ノーマン(すいません、お名前も存じ上げませんでした)による作品。『A House for Mr.Biswas』というミュージカル用に作った曲が、あのあまりにも有名な映画音楽の原型となったのだ。だが製作者サイドが「力強さが足りない」と難色を示し、ジョン・バリーがアレンジャーとして呼ばれたのである。

その後はジョン・バリーが007の音楽を担当し、『ゴールドフィンガー』(シャーリー・バッシー)、『サンダーボール』(トム・ジョーンズ​​)、『007は二度死ぬ』(ナンシー・シナトラ)、『愛はすべてを越えて』(ルイ・アームストロング)など数々の名主題歌を作曲。当時ジョン・バリーの自宅に居候していた俳優のマイケル・ケインが、出来たばかりの『ゴールドフィンガー』をピアノで弾いてもらい「世界で初めてこの名曲を聴いたのは自分だ!」と得意げに自慢するシーンもあったりする。

現在のところシリーズ最終作とあってか、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の主題歌を務めたビリー・アイリッシュとその兄フィニアス・オコネル、音楽担当のハンス・ジマーへのインタビューが盛りだくさん。もちろんこの内容も面白いのだが、個人的には『007 スペクター』のエピソードが興味深い。

本作の主題歌はサム・スミスが務めたのだが、実はレディオヘッドも依頼を受けていた。だが結局書き下ろしたナンバー『スペクター』はボツとなり、2016年に発表した9thアルバム『ア・ムーン・シェイプト・プール』のボーナス・トラックとして収録されることになる。

天下のレディオヘッドが作った曲が採用されないとは! 逆にそのエピソードが、「007」シリーズの偉大さを物語っている。

文/竹島ルイ

ドキュメンタリー映画『サウンド・オブ・007』

監督:マット・ホワイトクロス
出演:ダニエル・クレイグ、ラミ・マレク、マイケル・ケイン
©Amazon Studios

Amazon Prime Video にて全世界同時配信中