日本では年間約8万人が人知れず消え、そして今もどこかで誰かを待つ人がいる。そこにはいったいどんな物語が隠されているのか。「失踪者リスト」から着想を得て、その事象に興味を持ったドキュメンタリー出身の久保田直監督が青木研次のオリジナル脚本で映画化した、映画『千夜、一夜』。
主演は日本映画界を代表する俳優・田中裕子。夫の帰りを待ち続けるひとりの女性の強さや脆さを繊細に体現する。田中演じる登美子とは対照的な女性・奈美を熱演するのは尾野真千子。登美子に想いを寄せる漁師の春男をダンカン、失踪した奈美の夫・洋司を安藤政信が演じ、物語に深みをもたらす実力派俳優陣が集結した。
この度、90秒予告映像が公開された。
90秒予告映像は、突然失踪した夫の帰りを30年にわたり待ち続ける主人公・若松登美子(田中裕子)が、カセットテープに録音された若かりし日の自分と夫の初々しい会話を何度も巻き戻し、聴き入る姿からはじまる。漁師の春男(ダンカン)は、そんな登美子に思いを寄せ続けるも、「人助けのために一緒になろうとか考えてるの?」と冷たく突き放されてしまう。
そんな登美子のもとに訪れた、2年前に失踪した夫を探す奈美(尾野真千子)。登美子の協力を得て、夫が「いなくなった理由」を探すも、「若松さんのように強くはなれない」と新しい人生に舵をきろうとしていた。30年の年月が経ち、日に日に薄れてゆく夫の記憶。登美子は「腹が立ってるんですよ、自分に。あの人のこと、もう意識しないと思い出せない‥‥!」と吐露する。
ある日、夜道を運転していた登美子の前に突然不審な男が飛び出してくる。さらに浜辺には不審船が漂着し‥‥。男は失踪した夫の手がかりを握っているのだろうか?そして、町中で偶然、失踪した奈美の夫・洋司(安藤政信)を見かけたことをきっかけに、待つ女の日常は大きく波打っていく。
「若松さんは夢の中にいるのよ」と激昂する奈美、「まだ待ってるのか、あいつのことを」と必死に語りかける春男。しかし、周囲から何を言われようと、それでも頑なに待ち続ける富美子。「そこまで誰かを愛せますか?」というナレーションの言葉がズシリと響く。決して教義だけでは説明しきれない、複雑な人間の感情や本質を炙り出し、観る者の心を様々に揺さぶる物語を予感させる。
映画『千夜、一夜』は、10月7日(金)よりテアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開。
北の離島の美しい港町。登美⼦の夫が突然姿を消してから30年の時が経った。彼はなぜいなくなったのか。⽣きているのかどうか、それすらわからない。漁師の春男が登美⼦に想いを寄せ続けるも、彼女がそれに応えることはない。そんな登美⼦のもとに、2年前に失踪した夫を探す奈美が現れる。彼⼥は⾃分のなかで折り合いをつけ、前に進むために、夫が「いなくなった理由」を探していた。ある⽇、登美⼦は街中で偶然、失踪した奈美の夫・洋司を⾒かけて‥‥。
監督・編集:久保田直
出演:田中裕子、尾野真千子、安藤政信 / ダンカン、白石加代子、長内美那子、田島令子、山中崇、阿部進之介、田中要次、平泉成、小倉久寛
配給:ビターズ・エンド
©2022映画『千夜、一夜』製作委員会
2022年10月7日(金) テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国公開